この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問題56 汎血球減少症をきたすのはどれか。
1.鉄欠乏性貧血
2.腎性貧血
3.溶血性貧血
4.再生不良性貧血
解答4
解説
汎血球減少(※読み:はんけっきゅうげんしょう)とは、血液中の赤血球、白血球、血小板のすべての血中細胞成分が全体的に減少する症候である。ヘモグロビン:男12.0g/dL未満、女 11.0g/dL未満、白血球:4000/μL未満、血小板:10万/μL未満を指す。 骨髄穿刺所見では、有核細胞数の減少、特に巨核球の減少とリンパ球比率の増加が特徴的である。血球の形態には、異形成を認めない。
(※参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル」厚生労働省様)
1.× 鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。
2.× 腎性貧血
腎性貧血とは、腎臓病が原因で起こる貧血のことである。主にエリスロポエチンの欠乏または、エリスロポエチンに対する反応性の低下より、赤血球を産生能力が低下する。
3.× 溶血性貧血
溶血性貧血とは、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こる貧血の一種である。これにより、血液中の赤血球の数が減少し、貧血状態になる。溶血性貧血は、血液中のビリルビン(赤血球の分解産物)の量が増加することで黄疸となる。
4.〇 正しい。再生不良性貧血は、汎血球減少症をきたす。
再生不良性貧血とは、骨髄の造血幹細胞の減少と、それによる末梢血の汎血球減少を主徴とする症候群で、骨髄で血液が造られないために血液中 の赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減ってしまう病気である。白血球(Tリンパ球)の働きが何らかの原因で異常をきたし、自分自身の造血幹細胞を攻撃して壊してしまうことが原因と考えられている。
問題57 急性骨髄性白血病について正しいのはどれか。(※不適切問題)
1.末梢血で白血球裂孔がみられる。
2.中枢神経障害がみられる。
3.小児に多い。
4.血液凝固系は保たれる。
解答1・2・3・4
(※不適切問題:全選択肢正解)
理由:選択肢に不備があるため。
解説
急性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
1.〇 正しい。末梢血で白血球裂孔がみられる。
白血球分画に白血病裂孔(白血球裂孔)を認める。白血球分画とは、白血球の各細胞である好中球、リンパ球、好酸球、単球、好塩基球の5種類について、その割合を100分率(%)で表したものである。通常、白血球数に異常をみとめた場合に、どの種類の白血球がおもに増減したかを調べるときに検査である。ちなみに、白血病裂孔(白血球裂孔)とは、白血球を顕微鏡などで観察すると、幼若な白血病細胞と残存した成熟細胞はみられるが、分化段階が中間の成熟細胞が観察されなくなることである。主に急性骨髄性白血病で観察される血液の状態のことである。
2.〇 正しい。中枢神経障害がみられる。
白血病細胞が臓器に浸潤すると、関節が痛くなったりリンパ節が腫れたりすることがあります。 脳や脊髄などの中枢神経に浸潤すると、頭痛や吐き気、手足の麻痺などが起こることもある。
3.△ 小児に多いとは言いにくい。
なぜなら、「多い」とは何と比較して多いのか?いくつから多いのか?曖昧であるため。ちなみに、小児期に起こるがんの中で最も多いものが白血病である。そのうち急性骨髄性白血病は、小児期に発症する白血病の約25%を占めている。
4.△ 血液凝固系は保たれるとは言いにくい。
急性骨髄性白血病の症状として、貧血によるだるさ、動悸・息切れ、抵抗力の低下による発熱などの感染症症状、血小板減少などによる出血症状(皮膚のあざ、鼻血、口の中の出血など)がある。
問題58 子宮筋腫について正しいのはどれか。
1.CA125が上昇する。
2.ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関係する。
3.不正性器出血をきたしにくい。
4.エストロゲン依存性疾患である。
解答4
解説
子宮筋腫とは、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍で、比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られる疾患である。子宮筋腫は切迫流産・早産、前期破水、胎盤の位置異常、妊娠高血圧症候群などのリスクとなる。分娩時または産後に、次回の妊娠を希望する場合や妊娠中の合併症を増加させないために、子宮筋腫核出術を行う場合もある。
1.× CA125が上昇する場合は、「卵巣がん、肺がん、膵がん」を疑う。
なぜなら、CA125とは、卵巣がん、肺がん、膵がんなどの腫瘍マーカーであるため。ただし、CA125は、エストロゲンによって生成が促されるため、生理(月経)時や妊娠初期に上昇する性質がある。
2.× ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関係するのは、「子宮頸がん」である。
子宮頸がんとは、子宮頸部(子宮下部の管状の部分)に生じるがんのことである。子宮頸がんは、子宮がんのうち約7割程度を占める。近年、20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっている。子宮頸がんの原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染である。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染する。初期では無症状だが、進行するにつれて帯下の増加や悪臭のある帯下、周囲臓器の浸潤による疼痛などの症状が現れる。
3.× 不正性器出血をきたしやすい。
子宮筋腫は、月経期間以外にも不正出血を引き起こす可能性がある。なぜなら、子宮筋腫は、子宮内膜を圧迫し、剥離面を広げるため。したがって、剥がれ落ちる子宮内膜組織の量が増加し、経血量が増え、過多月経となる。
4.〇 正しい。エストロゲン依存性疾患である。
エストロゲン依存性疾患の代表格として、乳がん、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症があげられる。エストロゲン依存性とは、『エストロゲン だけが高い状態だと進行してしまう病気』ということである。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、妊娠初期は妊娠黄体から、妊娠8週以降は胎盤から分泌される。作用は、妊娠の維持(子宮筋の収縮抑制)、体温の上昇、乳腺の発育、妊娠中の乳汁分泌抑制である。厚くなった子宮内膜を、さらに受精卵が着床しやすい状態にする。
問題59 非結核性抗酸菌症について正しいのはどれか。
1.男性に多い。
2.人から人へ感染する。
3.難治性である。
4.肺切除の対象とはならない。
解答3
解説
非結核性抗酸菌とは、細菌の1グループである抗酸菌のうち、結核菌とらい菌以外の菌のことをいう。非結核性抗酸菌による肺感染症のことを肺非結核性抗酸菌症という。多くの人が日常的に菌を吸い込んでおり通常は病気になることはないが、一部の人で肺に定着して肺非結核性抗酸菌症を発症する。その原因は不明である。結核とは異なり、人から人への感染は基本的に起きない。症状は、長引く咳・痰・血痰・喀血・体重減少である。現在、日本で増加傾向で、特に中高年のやせ型の女性に多くみられる。(※参考:「非結核性抗酸菌(NTM)症とは」近畿中央呼吸器センター 診療部様HPより)
1.× 「男性」ではなく女性に多い。
特に、基礎疾患のない中高年のやせ型の女性に多くみられる。
2.× 人から人へ感染する。
結核とは異なり、人から人への感染は基本的に起きない。
3.〇 正しい。難治性である。
肺非結核性抗酸菌症は、治療によって完全に治すことが難しく効薬がない現状である。したがって、自覚症状をよくすること、病気の進行を防いで、将来重症化をさせないことが目的である。治療開始のタイミングについては明確な基準はない。
4.× 肺切除の対象とはなることもある。
薬による治療を行っても改善がみられない場合は、呼吸器外科の先生と治療方針を相談して、肺にある病変を手術で取り除くことを検討する場合もある。
問題60 腎前性腎不全の病因はどれか。
1.出血性ショック
2.前立腺癌
3.後腹膜腫瘍
4.急性腎炎症候群
解答1
解説
腎前性急性腎不全の原因は心不全である。腎前性腎不全とは、尿が腎臓を出る前にある場合をいう。主な原因は、腎臓に流れる血液量が減少することである。したがって、心不全のほかにも、外傷による大量出血、消化管出血、脱水、頻発する嘔吐・下痢などによる体液量の減少などである。
腎後性腎不全とは、尿の排出経路が閉塞することで発症するものをいう。例えば、著しい前立腺肥大、前立腺がん、左右両側の尿路結石、子宮頸がんなどによる尿管の圧迫などが原因としてあげられる。
1.〇 正しい。出血性ショックは、腎前性腎不全の病因である。
ショックとは、体液の喪失、心臓機能の低下、血管系虚脱などにより組織への酸素供給が障害され、放置すれば進行性に全身の臓器還流障害から急速に死に至る重篤な病態である。頻度的に最も多いのは出血性ショックである。出血性ショックとは、外傷や、消化管などからの出血によって血液循環量の低下が原因で起こるショックのことである。術後出血が原因となることもある。
2.× 前立腺癌
前立腺がんとは、男性の膀胱の下にある前立腺という臓器に発生するがんのことである。早期は、多くの場合、自覚症状がないが、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもある。進行すると、排尿の症状に加えて、血尿や、腰痛などの骨への転移による痛みがみられることがある。治療ではがんの状態や年齢などに応じて、手術や放射線治療、薬物療法を組み合わせて行う。検査の結果、治療をしないでも問題ない場合には、治療をせずに経過観察で様子を見ることもある。
3.× 後腹膜腫瘍
後腹膜腫瘍とは、後腹膜領域(腹部後方)に発生した腫瘍の総称で、比較的稀な疾患である。悪性腫瘍としては、悪性リンパ腫や脂肪肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫などの肉腫があり、良性腫瘍としては、神経鞘腫、血管腫、脂肪種、奇形腫などがあげられる。初期には症状はほとんどないが、腫瘍が大きくなると他の臓器を圧迫するため、腹部膨満や腹痛、吐き気、便秘、排尿障害などの症状をきたす。
4.× 急性腎炎症候群
急性腎炎症候群とは、たんぱく尿と血尿を伴い数週間~数か月と短い期間で、急速に腎機能が低下する状態をいう。