第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 気機を上昇させる特性をもつ五志に損傷されやすい臓の症状はどれか。

1.目のかすみ
2.不整脈
3.皮膚の乾燥
4.歯のぐらつき

解答

解説

内因について

内因は、七情に分けられ、七情の刺激は直接内蔵(五臓六腑の「五臓」)に影響して疾病を引き起こす原因となる。これを「内傷七情」という。また、7つの感情と「気」の動きにも関係がある。
7情:【5臓】→気と主な症状
喜:心臓→気は緩む。主な症状として無気力・不安感・不眠。
怒:肝臓→上昇する。主な症状として頭痛・目の充血。
思:脾臓(胃腸)→停滞する。主な症状としてみぞおちのつかえ、食欲不振。
憂・悲:肺→消耗する。主な症状として咳・息切れ・溜息。
恐:腎臓→下降する。主な症状として失禁・髪が抜ける。
驚:腎臓→乱れる。主な症状として記憶力衰退・集中力低下。

1.〇 正しい。目のかすみは、気機を上昇させる特性をもつ五志に損傷されやすい臓の症状である。
気機を上昇させる特性をもつ五志は、「怒」である。肝の生理として、 ①疏泄(情志・気機・月経の調節、脾胃の補助、②蔵血(血の貯蔵、血液量の貯節)があげられる。肝臓の病証は、精神抑鬱、急躁、易怒、胸肋部痛、目赤、目のかすみ、舌辺紅、脈弦など。

2.× 不整脈
これは、の症状である。心臓の病証は、心悸、心煩、胸悶、不眠、意識障害など。

3.× 皮膚の乾燥
これは、の症状である。肺の病証は、咳嗽、喘息、息切れ、自汗、易感冒など。

4.× 歯のぐらつき
これは、の症状である。腎の病証は、耳鳴、難聴、健忘、腰膝酸軟、尿閉、遺尿、浮腫、不妊、閉経、陽萎など。

 

 

 

 

 

問題97 陽経の気血を調節するのはどれか。

1.督脈
2.任脈
3.衝脈
4.帯脈

解答

解説
1.〇 正しい。督脈は、陽経の気血を調節する。
陽経の気血を調節し、陽気を総督する。腎・脳・背髄・胞宮と関係が深い。

2.× 任脈
陰経を調節し、胞胎を主る(月経・妊娠・出産の調節)

3.× 衝脈
十二経脈の気血を調節し(十二経の海)、血を貯える(血海)。胞宮から起こり、月経に関与する。

4.× 帯脈
季肋部から起こり腰部を回る。各経脈を束ねて調節する。

 

 

 

 

 

問題98 次の文で示す患者の病因で最も適切なのはどれか。
 「28歳の女性。年末年始に接客が多忙だった。その後、徐々に気力がなくなり、疲れやすく、接客がつらい。」

1.思
2.寒邪
3.労倦
4.飲食不節

解答

解説

本症例のポイント

・28歳の女性。
・年末年始に接客が多忙だった。
・その後:徐々に気力がなくなり、疲れやすく、接客がつらい。
→本症例は、仕事が多忙なことにより、疲れやすくなっている状態である。

1.× 思
内因は、七情に分けられ、七情の刺激は直接内蔵(五臓六腑の「五臓」)に影響して疾病を引き起こす原因となる。これを「内傷七情」という。また、7つの感情と「気」の動きにも関係がある。思:脾臓(胃腸)→停滞する。主な症状としてみぞおちのつかえ、食欲不振。

2.× 寒邪
六淫のうちのひとつでもある寒邪は、陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。

3.〇 正しい。労倦(※読み:ろうけん)が、この患者の病因である。
労倦は、過労や怠惰な生活による虚弱症状の原因の1つである。労倦は、肉体的な労働、精神的な労働、性生活など、働くことのすべてを指す。

4.× 飲食不節(※読み:いんしょくふせつ)
飲食不節とは、東洋医学において、病気の原因となる食生活の乱れを指す言葉である。飲食不節の原因としては、暴飲暴食、ジャンクフードなど、栄養が偏った食事、または栄養の不足しすぎることが挙げられる。

 

 

 

 

 

問題99 次の文で示す患者の病証の病理で正しいのはどれか。
 「82歳の男性。半年前に誤嚥性肺炎で1か月間入院した。退院後から腰の痛み、耳鳴り、手足のほてりが出現し寝汗をかくようになった。」

1.疏泄の失調
2.運化の失調
3.肝火の上炎
4.腎陰の不足

解答

解説

本症例のポイント

・82歳の男性。
・半年前:誤嚥性肺炎で1か月間入院。
・退院後:腰の痛み、耳鳴り、手足のほてりが出現し寝汗をかくようになった。
→本症例の症状から、腎隠虚が疑われる。腎陰虚の症状として、手足心熱、のぼせ、耳鳴、難聴、腰膝酸軟、口乾、舌質紅、脈数などがあげられる。

1.× 疏泄の失調
疏泄は、肝の生理であり、情志・気機・月経の調節、脾胃の補助などがあげられる。

2.× 運化の失調
運化は、脾の生理であり、飲食物を水穀の精微に変化させ、心・肺に運ぶ。

3.× 肝火の上炎
肝火上炎 は、肝の弁証であり、頭痛、眩暈、耳鳴、目赤、急躁、易怒、舌辺紅、脈弦数などがあげられる。

4.〇 正しい。腎陰の不足は、患者の病証の病理である。
本症例の症状から、腎隠虚が疑われる。腎陰虚の症状として、手足心熱、のぼせ、耳鳴、難聴、腰膝酸軟、口乾、舌質紅、脈数などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題100 経脈病証で「前頸部が腫れ、口がゆがみ口すぼめができず、うつ傾向にある」のはどれか。

1.手の太陰経病証
2.手の少陰経病証
3.足の陽明経病証
4.足の少陽経病証

解答

解説

1.× 手の太陰経病証
太陰病の症状として、裏虚寒証(初期)、食欲不振、腹部膨満感、水様便などがあげられる。
手の太陰肺経:あえぎ、咳、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起こる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。

2.× 手の少陰経病証
少陰病の症状として、外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証、四肢厥冷、心煩、不眠などがあげられる。
手の少陰心経:吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。

3.〇 正しい。足の陽明経病証は、経脈病証である。
陽明病の症状として、裏実熱証、発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈などがあげられる。
足の陽明胃経:顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。

4.× 足の少陽経病証
少陽病の症状として、半表半裹証、発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦などがあげられる。
足の少陽胆経:口苦が起こり、大きなため息をつく、寝返りが打てない。顔に少し垢が付いたように黒くなる。体の艶が無くなる。足外反しほてる。頭やエラの所が痛む。まなじりが痛む。首に結核性のリンパ節炎ができる。往来寒熱の状態になり、あらゆる関節が痛む。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

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