第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後171~175】

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問題171 艾の製造工程で艾葉から毛茸を剝離するのに用いるのはどれか。

1.裁断機
2.石臼
3.けんどん
4.唐箕

解答

解説

艾の製造

①ヨモギを採集(5~8月頃)→②葉を乾燥→③石臼でひく→④篩(長唐箕(けんどん))にかける→⑤唐箕で不純物を除去する。
※ヨモギ:キク科の多年生植物。生産量は新湯県が最も多い。

1.× 裁断機
裁断機は、乾燥ヨモギの葉をきざみ、細かく粉砕するために用いる。

2.〇 正しい。石臼は、艾の製造工程で艾葉から毛茸を剝離するのに用いる。
石臼は、葉柄、葉脈、葉肉を粉砕し、葉から毛茸・綿毛を剥離するのに用いられる。

3.× けんどん(篩、長唐箕)
けんどんは、篩(ふるい)ともいい、円筒形で葉枝・葉脈などを落とすのに用いられる。

4.× 唐箕
唐箕は、風力で比重差による夾雑物の除去を行うために用いる。長時間かけると毛茸の表面付着物が除去されて、より純粋な毛茸となる。

 

 

 

 

 

問題172 施灸に用いる線香について誤っているのはどれか。

1.原料にはタブ粉を用いる。
2.生産量が最も多いのは兵庫県である。
3.湿気を含むと折れにくい。
4.途中で消えないものが望ましい。

解答

解説
1.〇 原料にはタブ粉を用いる。
線香は、タブの樹皮や葉、スギの葉などの粉末が主な原料となる。

2.〇 生産量が最も多いのは兵庫県である。
ちなみに、艾の原料のヨモギ(キク科の多年生植物)の生産量は、新湯県が最も多い。

3.× 湿気を含むと折れやすい
折鍼の原因として、鍼自体の欠陥(湿気を含む)があげられる。他にも、患者の不意な体動、(直流)電流による通電、オートクレーブでの反復滅菌などがある。処置として、体動を禁じ、皮膚表面に断端が出ればピンセットで引き抜く。抜鍼できない場合には外科手術が必要である。

4.〇 途中で消えないものが望ましい。
なぜなら、途中で消えてしまうと効果も減少してしまうため。

 

 

 

 

 

問題173 知熱灸について誤っているのはどれか。

1.無痕灸の一つである。
2.患者が熱さを感じたら取り除く。
3.虚弱者にも適応となる。
4.施灸部にⅡ度熱傷が生じる。

解答

解説

知熱灸とは?

無痕灸のひとつである知熱灸とは、半米粒~米粒大の艾炷に点火し、患者の気持ちの良い所で消火もしくは取り除く方法である。8割燃焼による八分灸である。

1.〇 正しい。無痕灸の一つである。
無痕灸とは、皮膚ともぐさが直接触れず、お灸との間に一定の空間を開けて熱を加える灸法のことである。皮膚にお灸の痕を残さないため、無痕灸と呼ばれる。知熱灸のほかにも、温灸、隔物灸、薬物灸、切艾、線香があげられる。

2.〇 正しい。患者が熱さを感じたら取り除く。
知熱灸とは、半米粒~米粒大の艾炷に点火し、患者の気持ちの良い所で消火もしくは取り除く方法である。

3.〇 正しい。虚弱者にも適応となる。
虚弱者とは、医学用語ではなく、一般的な言葉として、また行政用語として使われている。虚弱者は、慢性疾患、腎臓疾患、神経疾患、悪性新生物などの疾患が継続して医療または生活規制を必要とする状態にある者である。

4.× 施灸部にⅡ度熱傷が生じない
なぜなら、知熱灸は、患者の気持ちの良い所で消火もしくは取り除くため。

熱傷の分類

Ⅰ度:【深さ】表皮【症状】発赤、熱感、軽度の腫脹と疼痛、水泡形成(ー)【治癒】数日間、瘢痕とはならない。
Ⅱ度:【深さ】真皮浅層(SDB)【症状】強い疼痛、腫脹、水泡形成(水泡底は赤色)【治癒】1~2週間、瘢痕再生する。
Ⅱ度:【深さ】真皮深層(DDB)【症状】水泡形成(水泡底は白色、もしくは破壊)、知覚は鈍麻【治癒】3~4週間、瘢痕残す、感染併発でⅢ度に移行。
Ⅲ度:【深さ】皮下組織【症状】疼痛(ー)、白く乾燥、炭化水泡形成はない【治癒】一か月以上、小さいものは瘢痕治癒、植皮が必要。

 

 

 

 

 

問題174 灸あたりの予防として最も適切なのはどれか。

1.艾炷のひねりを硬くする。
2.艾炷の底面を広くする。
3.刺激量の少ない灸法を選択する。
4.施灸後の皮膚消毒を念入りに行う。

解答

解説

灸あたりとは?

灸あたりとは、施灸直後または翌日から、数時間~数十時間、全身倦怠感、脱力感、頭重、めまい、悪寒、発熱、嘔気などがおこり、その後、愁訴は急速に軽減・消失するものを指す。原因として、総刺激量の過剰が考えられている。安静臥床、予防では刺激量の調節や精神的安定を図るよう処置する。

1~2.× 艾炷のひねりを硬くする/艾炷の底面を広くする。
これらは、灸あたりを助長することになる。なぜなら、灸あたりの原因は総刺激量の過剰が考えられているため。

3.〇 正しい。刺激量の少ない灸法を選択する
なぜなら、灸あたりの原因は、総刺激量の過剰が考えられているため。ちなみに、刺激量を決める要因として、①艾炷の大小、②ひねりの硬軟、③数、④施灸法があげられる。刺激を強くするには、①艾炷が大きい、②ひねりが硬い、③壮数が多いなどで決まる。

4.× 施灸後の皮膚消毒を念入りに行う必要はない。
消毒は、感染の予防に有効であるが、灸あたりの原因は消毒と関係性が低い。

 

 

 

 

 

問題175 痛みを伴う熱刺激を伝導するのはどれか。

1.Aα線維
2.Aβ線維
3.Aγ線維
4.Aδ線維

解答

解説


1.× Aα線維は、筋・腱の感覚と運動を伝導する。

2.× Aβ線維は、触圧覚を伝導する。

3.× Aγ線維は、触圧覚を伝導する。

4.〇 正しい。Aδ線維は、痛みを伴う熱刺激を伝導する。

 

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