第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 中枢性めまいの特徴について正しいのはどれか。

1.持続時間が長い。
2.めまいの程度が強い。
3.回転性のことが多い。
4.耳鳴りを伴うことが多い。

解答

解説

めまいの分類

めまいは①中枢性と②末梢性に分類される。
①中枢性めまいは、脳幹や小脳が障害され、眩暈の程度は弱いが持続的なことが特徴である。
②末梢性めまいは、内耳・前庭神経が障害され、眩暈の程度は強く突発的に周期性を持つことが多い。良性発作性頭位眩暈(めまい)症(BPPV)、Ménière病(メニエール病)、前庭神経炎がある。

1.〇 正しい。持続時間が長い
なぜなら、中枢性めまいは、脳幹や小脳が障害され、眩暈の程度は弱いが持続的なことが特徴であるため。

2.× めまいの程度が強い。
これは末梢性めまいの特徴である。末梢性めまいとは、内耳・前庭神経が障害され、眩暈の程度は強く突発的に周期性を持つことが多い。良性発作性頭位眩暈(めまい)症(BPPV)、Ménière病(メニエール病)、前庭神経炎がある。

3.× 回転性のことが多い。
これは末梢性めまいの特徴である。回転性めまいとは、自分は動いていないにも関わらず、自分や周囲(天井や壁など)がぐるぐる回っているようなめまいのことである。主に、メニエール病でみられる。

4.× 耳鳴りを伴うことが多い。
これは末梢性めまいの特徴である。耳鳴りとは、周囲に音が鳴っていないにもかかわらず、耳や頭の中で雑音が聞こえる状態のことである。主に、メニエール病でみられる。

メニエール病とは?

Ménière病とは、膜迷路を満たしている内リンパ液の内圧が上昇し、内リンパ水腫が生じる内耳疾患である。4大症状として、①激しい回転性のめまい、②難聴(感音難聴)、③耳鳴り、④耳閉感を繰り返す内耳の疾患である。主な原因は「内リンパ水腫」で、 その根底にはストレス・睡眠不足・疲労・気圧の変化・几帳面な性格などがあると考えられている。耳発作時では安静を第一に考えた指導を行い、間欠期では発作が起こらないようにするための指導をする。

 

 

 

 

 

問題47 膝関節の前十字靱帯損傷を確認する徒手検査法はどれか。

1.アプレイテスト
2.内反ストレステスト
3.マクマレーテスト
4.ラックマンテスト

解答

解説
1.× アプレイテスト
一般的にApleyテスト(アプレーテスト)といっても、アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)やアプレー圧迫・牽引テストとApleyとつくテストがいくつかある。アプレー・スクラッチテスト(Apley scratch test)は、棘上筋腱の変性性筋炎を疑う。アプレー圧迫テストは半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。

2.× 内反ストレステスト
内反ストレステストは、外側側副靭帯損傷の検査である。背臥位にて患側膝30°屈曲位と伸展位の両方で、検者は内反方向にゆっくりと強制する。

3.× マクマレーテスト
McMurrayテスト(マックマリーテスト)の陽性は、半月板損傷を疑う。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。

4.〇 正しい。ラックマンテストは、膝関節の前十字靱帯損傷を確認する徒手検査法である。
Lachmanテスト(ラックマンテスト)は、背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

前十字靭帯とは?

前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。

 

 

 

 

 

問題48 心身症に含まれる疾患はどれか。

1.うつ病
2.統合失調症
3.パニック障害
4.過敏性腸症候群

解答

解説

心身症とは?

心身症とは、各科が対応する身体疾患の内、発症や経過に心理社会的ストレスの影響で機能的(器質的)な障害を伴った疾患群です。 日常生活で仕事や対人関係などの心理社会的ストレスに無頓着や無自覚な場合に発症・悪化することが多く一般的治療では改善困難である。代表的な心身症としては、頭痛、高血圧、過敏性腸症候群、アトピー性皮膚炎、慢性じんましんなどがある。

1.× うつ病
抑うつ病とは、脳内の神経伝達物質のアンバランスにより、気分や感情をうまく調節できなくなり、心身の不調が表れる病気である。症状には、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状や、自信が持てず、自己評価も低下しがちになる精神的な症状などがある。

2.× 統合失調症
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)

3.× パニック障害
パニック障害とは、誘因なく突然予期せぬパニック発作(動悸、発汗、頻脈などの自律神経症状、狂乱・死に対する恐怖など)が反復して生じる状態をいう。また発作が起こるのではないかという予期不安を認め、しばしば広場恐怖を伴う。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②抗不安薬、③認知行動療法(セルフコントロール)などである。

4.〇 正しい。過敏性腸症候群は、心身症に含まれる疾患である。
過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群である。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられている。それぞれタイプが存在し、①下痢型(ストレスや緊張などのわずかなきっかけによって腹痛と激しい便意とともに下痢を生じる)、②便秘型(便秘に伴ってお腹の張りなどの症状が起こる)、③混合型(便秘と下痢が交互に繰り返すもの)がある。

 

 

 

 

 

問題49 アトピー性皮膚炎について正しいのはどれか。

1.主にⅡ型アレルギーが関与する。
2.四肢の伸側に好発する。
3.皮膚のバリア機能が亢進している。
4.スキンケアが重要である。

解答

解説

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気のことである。子どもの頃に発症することが多く、一般的には成長とともに症状は改善していきますが、一部の患者は成人になってからもかゆみや湿疹などの症状が続く。原因は不明、アレルギーを起こしやすい体質や遺伝などが発症に関与していると考えられている。

1.× 主に「Ⅱ型」ではなくⅠ型アレルギーが関与する。
Ⅰ型アレルギーとは、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。他の1型アレルギーには、花粉症、喘息、食物アレルギーなどがある。

2.× 四肢の「伸側」ではなく屈側に好発する。
幼児期・学童期に発症したとき、頸部・腋窩・肘窩・膝窩・鼠径・手首・足首といった屈曲部に目立つ。

3.× 皮膚のバリア機能が「亢進」ではなく低下している。
アトピー性皮膚炎では、皮膚の細胞をつくるタンパク質が不足して皮膚がはがれやすくなり、また、セラミドが不足して細胞同士のすき間が広がる。その結果、バリア機能が低下し、水分が蒸発したり、外部から刺激物が侵入したりする。ちなみに、皮膚のバリア機能とは、外からの異物の侵入や水分の蒸発による皮膚の乾燥を防ぐ機能である。

4.〇 正しい。スキンケアが重要である
患部を清潔に保ち、肌のバリア機能を高めるための保湿ケアを行うことが大切である。化粧水やローション、乳液、オールインワンアイテム、ボディクリームなど、自分の肌に合うものを選んで継続してケアを行い、乾燥予防を行う。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題50 急性糸球体腎炎について正しいのはどれか。

1.予後は良好である。
2.高齢者に多い。
3.血清補体価は上昇する。
4.細菌尿がみられる。

解答

解説

糸球体腎炎とは?

糸球体腎炎とは、糸球体腎炎のうちで数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気である。糸球体が侵される病気である。原因として、急性上気道炎などの感染後、10日ほど経ってから血尿、むくみ、高血圧などで発症する。症状として、血尿、蛋白尿、貧血を認め、倦怠感や発熱、体重減少などがあげられる。

1.〇 正しい。予後は良好である
急性糸球体腎炎は、感染が治ると尿所見や腎機能も回復することが多く、比較的予後はよい疾患である。しかし、尿所見異常が遷延し、腎機能障害が残ることもある。

2.× 「高齢者」ではなく若年者に多い。
糸球体腎炎の好発年齢は、慢性糸球体腎炎では20〜30歳代、急性糸球体腎炎では4〜10歳くらいまでの子どもである。

3.× 血清補体価は、「上昇」ではなく低下する。
血清補体価とは、血清中に残存している補体の総和であり、古典経路(C1~C9)の総合的な活性を示す指標である。補体は、抗体や他の免疫細胞と協力して、体内に侵入した病原体を死滅させる働きがある。

4.× 細菌尿がみられない
細菌尿とは、尿路感染症によって尿が混濁して汚れる状態のことである。尿路感染症は、大腸菌などの細菌が尿の出る場所から尿の通る経路に入ることで起こる。尿路感染とは、感染診断名としては、①腎盂腎炎と②膀胱炎とに分けられる。一方で、その病態による一般的分類法として尿路基礎疾患のある・なしで、複雑性と単純性とに分ける。頻度として多い女性の急性単純性膀胱炎は外来治療の対象である。急性単純性腎盂腎炎は高熱のある場合、入院が必要なこともある。複雑性尿路感染症は、膀胱炎、腎盂腎炎とも、症状軽微な場合、外来治療が原則であるが、複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞機転が強く高熱が認められるものでは、入院の上、腎瘻造設などの外科的ドレナージを要することもある。

 

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