第34回(R8年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前61~65】

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問題61 手根管症候群の原因とならないのはどれか。

1.肥満
2.妊娠
3.貧血
4.人工透析

解答

解説

手根管症候群とは?

手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。手根管(手関節付近の正中神経)を4~6回殴打すると、支配領域である母指から環指橈側および手背の一部にチクチク感や蟻走感が生じる(Tinel徴候陽性)。Tinel徴候のほか、ダルカン徴候(手根管部を指で圧迫するとしびれ感が増悪する)やファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。

手根管を通るもの:①浅指屈筋腱、②深指屈筋腱、③正中神経、④長母指屈筋腱、⑤橈側手根屈筋腱
ギヨンを通るもの:①尺骨動脈、②尺骨神経

1~2.× 肥満/妊娠は、手根管症候群の原因となる。なぜなら、肥満や妊娠では、脂肪・ホルモン変化によるむくみで通路が狭くなるため。

3.〇 貧血は、手根管症候群の原因とならない。なぜなら、貧血と手根管症候群の関連性は低いため。
・手根管症候群の代表的な原因・危険因子として挙げられるのは、妊娠、肥満、透析、糖尿病、関節リウマチ、甲状腺機能低下症などである。

4.× 人工透析は、手根管症候群の原因となる。なぜなら、人工透析ではアミロイド沈着などで圧が上がるため。

 

 

 

 

 

問題62 褐色細胞腫で減少・低下するのはどれか。

1.血圧
2.体重
3.発汗
4.脈拍

解答

解説

褐色細胞腫とは?

褐色細胞腫とは、交感神経(自律神経の一種)に働きかけるホルモンであるカテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)の産生能を有する腫瘍である。主に、腎臓の上に位置する副腎髄質から発生する。カテコラミンは、交感神経に働いて、身体中の血管を収縮させたり、心臓の収縮能を増加させることで、脳や腎臓などの臓器への血流調整に、重要な役割を果たす。褐色細胞腫ではこのカテコラミンが過剰に分泌され、高血圧や頭痛、動悸、発汗、不安感、便秘、腸閉塞(麻痺性イレウス)など多様な症状を呈する。また、糖尿病、脂質異常症を併発することもある。

1.3~4.× 血圧/発汗/脈拍は上昇する。なぜなら、褐色細胞腫により交感神経優位となるため。

2.〇 体重は、褐色細胞腫で減少・低下する。なぜなら、カテコールアミン過剰により代謝が亢進し、体重減少をきたすため。

 

 

 

 

 

問題63 スポーツ外傷・障害と罹患部位の組合せで正しいのはどれか。

1.オスグッド病:大腿骨外側顆
2.ジャンパー膝:脛骨遠位端
3.マレット指:中節骨近位端
4.野球肘(外側型):上腕骨小頭

解答

解説
1.× オスグッド病は、「大腿骨外側顆」ではなく脛骨粗面(脛骨結節)である。
・オスグッド・シユラッター病は、脛骨粗面(脛骨結節)の骨端症である。小児の運動後に生じる膝の痛み、膝脛骨結節部の圧痛、さらに脛骨粗面に異常骨陰影を認める。男児に多く発症する。運動などの大きな外力が繰り返しかかることにより、大腿四頭筋の膝蓋腱の脛骨付着部が機械的刺激を受けて、脛骨粗面部の運動時痛と膨隆が生じる。

2.× ジャンパー膝は、「脛骨遠位端」ではなく膝蓋腱である。
・ジャンパー膝とは、ジャンピングなどの繰り返し行動による過度のストレスが膝蓋腱に与えられることにより、膝蓋骨周囲の疼痛や腫脹を生じている状態を指す。バスケットボールやバレーボールなどのスポーツによる膝伸展機構の使いすぎによって起こる。

3.× マレット指は、「中節骨近位端」ではなく末節骨近位端である。
・槌指とは、マレットフィンガーやハンマー指、ベースボールフィンガー、ドロップフィンガーのことである。DIP関節の過屈曲によりDIP関節の伸筋腱の断裂で起こる。DIP関節が曲がったままで痛みや腫れがあり、自動伸展は不能で、自分で伸ばそうと思っても伸びない。しかし、他動伸展は可能である。
【末節骨骨折・マレットフィンガーの分類】
Ⅰ型(腱断裂):終止腱の断裂
Ⅱ型(裂離骨折):終止腱の停止部での裂離骨折
Ⅲ型(関節内骨折):末節骨の背側関節面を含む骨折

4.〇 正しい。野球肘(外側型):上腕骨小頭
・肘離断性骨軟骨炎は、外側型野球肘ともいい、青年期に多くみられ、慢性炎症に分類される、肘への反復する負荷が原因となるスポーツ障害である。上腕骨小頭に好発する。関節遊離体とは、関節ねずみともいい、肘や膝などの関節部分にある骨や軟骨がはがれ落ち、関節内を動き回る物をいう。ロッキングは、膝が一定の角度で屈伸不能(特に完全伸展不能)になることである。原因として、半月板損傷後や関節遊離体などが断裂し、顆間窩に挟まれることによって生じる。

 

 

 

 

問題64 真菌性肺炎はどれか。

1.レジオネラ肺炎
2.マイコプラズマ肺炎
3.クラミジア肺炎
4.ニューモシスチス肺炎

解答

解説
1.× レジオネラ肺炎は、レジオネラ属菌による細菌感染症である。
・レジオネラ肺炎は、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られる。主な感染源は、レジオネラ属菌に汚染された循環式浴槽水、シャワー、ジャグジー、冷却塔水、加湿器などの人口環境水の目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)が主な原因となる。

2.× マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(細菌)による細菌感染症である。小児や若い人の肺炎の原因としては、比較的多いものの1つである。例年、患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下であるが、成人の報告もみられる。

3.× クラミジア肺炎は、肺炎クラミジア(細菌)による細菌感染症である。発熱、咳、のどの痛み、倦怠感などがみられ、症状は比較的ゆっくり進むことが多い。マイコプラズマ肺炎などと同じく、非定型肺炎に分類される。学校や家庭内で感染することもある。

4.〇 正しい。ニューモシスチス肺炎は、真菌性肺炎である。健康な人では発症しにくいが、HIV感染症、免疫抑制薬の使用、悪性腫瘍、臓器移植後など、免疫機能が低下した人で起こりやすい。発熱、乾いた咳、息切れ、低酸素血症などがみられる。日和見感染症の代表例である。

MEMO

・非定型肺炎とは、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどによって起こる肺炎である。症状は比較的ゆっくり進み、乾いた咳が長引くことが多い。聴診所見や胸部画像の所見が典型的でないことがあり、一般的なペニシリン系抗菌薬が効きにくい場合がある。

・定型肺炎とは、主に肺炎球菌などの細菌によって起こる肺炎である。急な発熱、悪寒、湿った咳、膿性の痰、胸痛などがみられやすい。聴診で異常音を認め、胸部画像でも肺炎らしい陰影が出やすい。ペニシリン系などの一般的な抗菌薬が治療に用いられる。

 

 

 

 

 

問題65 前立腺肥大症について最も適切なのはどれか。

1.PSA値が極めて高値となる。
2.直腸指診で石のように硬い前立腺を触知する。
3.夜間頻尿がみられる。
4.ホルモン補充療法が有効である。

解答

解説

前立腺肥大症とは?

前立腺肥大症とは、男性の膀胱の隣にある前立腺という臓器が大きくなっている状態で、排尿症状や蓄尿症状、排尿後症状などが現れる。原因ははっきりと断定できていないが、男性ホルモンの関与が指摘されている。また、肥満や高血圧、高血糖、脂質異常症なども関係があるといわれている。

1.× PSA値が極めて高値となるのは、「前立腺がん」である。
・PSA値(Prostate Specific Antigen値)とは、前立腺特異抗原で、前立腺で作られるタンパク質である。採血で測定し、前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられる。PSAの基準値は、0~4ng/mLとされている。4~10ng/mLは、25~40%の割合でがんが発見され、100ng/mLを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、転移も疑われる。

2.× 直腸指診で石のように硬い前立腺を触知できるのは、「前立腺がん」である。なぜなら、前立腺肥大症では、前立腺が対称性に腫大して軟化し、圧痛を伴わないことがあるため。

3.〇 正しい。夜間頻尿がみられる。なぜなら、前立腺肥大症では、前立腺が大きくなることで排尿がしにくくなり、膀胱が過敏になって頻尿や夜間頻尿が起こるため。

4.× ホルモン補充療法が有効「とはいえない」。前立腺肥大症は、「ホルモンを補う病気」ではなく、“尿道抵抗や前立腺容積を下げて排尿症状を改善する病気”として理解する。

 

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