第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後121~125】

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問題121 五兪穴で咳嗽と発熱に用いるのはどれか。

1.陰谷
2.復溜
3.太渓
4.然谷

解答

解説

五兪穴の主治と経

井穴:心下満、肝経
栄穴:身熱、心経
兪穴:体重節痛、脾経
経穴:喘咳寒熱、肺経
合穴:逆気而泄、腎経

1.× 陰谷は、合穴である。
逆気而泄(※読み:ぎゃっきじせつ)に適応となる。逆気而泄とは、下に向かうべき気が上にのぼってしまう状態のことである。逆気はのぼせ、而泄は漏れ出るという意味である。ちなみに、陰谷(※読み:いんこく)は、膝後内側、半腱様筋腱の外縁、膝窩横紋上に位置する。

2.〇 正しい。復溜は、五兪穴で咳嗽と発熱に用いる。
復溜は、経穴である。喘咳寒熱に適応となる。喘咳寒熱とは、寒気がきて急に熱が上昇する病症で、寒熱往来とも呼ばれる。ちなみに、復溜(※読み:ふくりゅう)は、下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸に位置する。

3.× 太渓は、兪穴である。
体重節痛(※読み:たいじゅうせつつう)に適応となる。体重節痛とは、体が重くて、節々が痛いという状態のことである。ちなみに、太渓(※読み:たいけい)は、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部に位置する。

4.× 然谷は、栄穴である。
身熱(※読み:しんねつ)に適応となる。身熱とは、全身的な発熱で、悪寒や発汗を伴わないものを指す。ちなみに、然谷(※読み:ねんこく)は、足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際に位置する。

 

 

 

 

 

問題122 六つ灸で用いる経穴と同じ高さにあるのはどれか。

1.至陽
2.接脊
3.中枢
4.陽綱

解答

解説

六つ灸とは?

六つ灸は、膈兪、肝兪、脾兪の左右で計6穴である。六華の灸、胃の六つ灸である。
①膈兪(※読み:かくゆ):上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
②肝兪(※読み:かんゆ):上背部、第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分
③脾兪(※読み:ひゆ):上背部、第11胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分

1.〇 正しい。至陽は、六つ灸で用いる経穴と同じ高さにある。
至陽は、六つ灸の膈兪と同じ高さである。ちなみに、至陽(※読み:しよう):上背部、後正中線上、第7胸椎棘突起下方の陥凹部に位置する。

2.× 接脊(※読み:せっせき)
接脊は、上背部、後正中線上、第12胸椎棘突起下方の陥凹部に位置する。別名で接骨(※読み:せっこつ)という。奇穴の【主治】脊椎・脊髓疾患、小児腹部疾患(下痢・脱肛・しぶり腹など)である。

3.× 中枢(※読み:ちゅうすう)
中枢は、上背部、後正中線上、第10胸椎棘突起下方の陥凹部に位置する。

4.× 陽綱(※読み:ようこう)
陽綱は、上背部、第10胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸に位置する。

 

 

 

 

 

問題123 大腸の下合穴が所属する経脈の経火穴はどれか。

1.陥谷
2.陽渓
3.解渓
4.崑崙

解答

解説

MEMO

大腸の下合穴は、上巨虚【胃】である。足の陽明胃経である上巨虚は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸に位置する。

1.× 陥谷は、足の陽明胃経の兪穴である。
陥谷(※読み:かんこく)は、足背、第2~3中足骨間、第2中足指節関節の近位陥凹部に位置する。

2.× 陽渓は、手の陽明大腸経の経穴である。
陽渓(※読み:ようけい)は、手関節後外側、手関節背側横紋橈側、橈骨茎状突起の遠位、タバコ窩(橈骨小窩)の陥凹部に位置する。

3.〇 正しい。解渓は、大腸の下合穴が所属する経脈の経火穴である。
解渓は、足の陽明胃経の経穴である。解渓(※読み:かいけい)は、足関節前面、足関節前面中央の陥凹部、長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間に位置する。内果尖と外果尖との中点にあたる。

4.× 崑崙は、足の太陽膀胱経の経穴である。
崑崙(※読み:こんろん)は、足関節後外側、外果尖とアキレス腱の間の陥凹部に位置する。

MEMO

下合穴は、胆:陽陵泉【胆】、小腸:下巨虚【胃】、胃:足三里【胃】、大腸:上巨虚【胃】、膀胱:委中【膀】、三焦:委陽【膀】があげられる。

 

 

 

 

 

問題124 腓骨頭直下と脛骨粗面下端の中間に取る経穴が所属するのはどれか。

1.八総穴
2.八会穴
3.中風七穴
4.五要穴

解答

解説

MEMO

腓骨頭直下と脛骨粗面下端の中間に取る経穴は、足三里である。足三里(※読み:あしさんり)は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。

1.× 八総穴
八総穴は内関、公孫、外関、足臨泣、後渓、申脈、列欠、照海である。

2.× 八会穴
八会穴は中脘、章門、陽陵泉、懸鐘、膈兪、大杼、太淵、膻中である。

3.〇 正しい。中風七穴は、腓骨頭直下と脛骨粗面下端の中間に取る経穴が所属する。
中風七穴の第1説は、百会【督】、肩井【胆】、足三里【胃】、曲池【大】、曲鬢【胆】、風市【胆】、懸鍾【胆】が含まれる。

4.× 五要穴
五要穴には、原穴、郄穴、絡穴、募穴、兪穴があげられる。

 

 

 

 

 

問題125 生体において皮膚温の変化を示すのはどれか。

1.丘疹点
2.ヘッド帯
3.ボアス点
4.エアポケット現象

解答

解説
1.× 丘疹点(※読み:きゅうしんてん)
丘疹点とは、内臓疾患の反応が、経穴部に丘疹、紅斑として現れるものである。鍼の響きがリンパ流の速度に近いことから、発生した活動電流が組織液に影響を与え、その変化が知覚神経に感知されると考えたのであり、筋運動主因性体液路系の学説と言える。

2.× ヘッド帯
平田氏は体幹を十二分節に区分して内臓が悪いところに、反応が出るという説であり、ヘッド氏帯は、病変部位が脊髄節の皮膚に近く過敏として表れる内臓皮膚反射である。

3.× ボアス点
ボアス点とは、第12胸椎の左側の圧痛点である。この部位を指で押したときに痛みを生じる場合、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を示唆する。ちなみに、胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。

4.〇 正しい。エアポケット現象は、生体において皮膚温の変化を示す。
エアポケット現象とは、脊椎側部の皮膚温の低下と関連する内臓病変を指す言葉である。漢方では、瞑眩(反応)が病気を治すために重要であるとされている。

 

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