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問題121 次の文で示す患者の病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
「46歳の男性。主訴は肩こり。仕事で神経を使うことが多く肩こりが気になり始めた。イライラしやすく、こりがひどくなると肩上部のつまった感じがする。脈は左関上が弦。」
1.気を散らす。
2.脾気を補う。
3.運化を促す。
4.瘀血を除く。
解答1
解説
・46歳の男性(主訴:肩こり)
・仕事で神経を使うことが多く肩こりが気になり始めた。
・イライラしやすく、こりがひどくなると肩上部のつまった感じがする。
・脈は左関上が弦。
→本症例は、肝気鬱結が疑われる。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。また、脈は左関上であるため、肝の症状である。
1.〇 正しい。気を散らす。
本症例は、肝気鬱結が疑われる。肝気鬱結とは、精神的ストレスによる症状をさす。気の巡りが悪く、イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、ため息などの症状を呈する。女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理不順などの症状もみられる。また、脈は左関上であるため、肝の症状である。
2.× 脾気を補う。
これは、脾気虚に対し行う。ちなみに、脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などである。
3.× 運化を促す。
これより、本症例の病証に適したものが他にある。脾の生理として、①運化(飲食物を水穀の精微に変化させ、心・肺に運ぶ)、②統血(血が脈中から漏れ出るのを防ぐ(気の固摂作用))である。脾は気血生成の源、生痰の源といわれる。また、特性として、①昇清(生理物質の上昇、組織・器官を正常な位置に保つ)、②喜燥悪湿である。
4.× 瘀血を除く。
これは、小腹急結などに用いられる。瘀血(おけつ)とは、血液が汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった状態のことである。瘀血になると、血の流れが悪くなり、全身に栄養が行き渡らなくなるため、さまざまな症状が現れやすくなる。
【部位】
①左:浮・沈
寸:小腸・心
関:胆・肝
尺:膀胱・腎
②右:浮・沈
寸:大腸・肺
関:胃・脾
尺:三焦・心包
問題122 次の文で示す患者の病態に対し、罹患局所への施術対象となる経穴で最も適切なのはどれか。
「28歳の女性。テニスを10年続けて上級者となってきた。2週間ほど前から肘の内側に痛みを感じるようになった。熱感や腫脹はない。」
1.肺経の絡穴
2.心包経の郄穴
3.大腸経の絡穴
4.三焦経の郄穴
解答2
解説
・28歳の女性。
・テニスを10年続けた。
・2週間前:肘の内側に痛みを感じる。
・熱感や腫脹はない。
→テニス肘のフォアハンドテニス肘(上腕骨内側上顆)と言われるタイプが疑われる。フォアハンドテニス肘とは、上腕骨内側上顆炎ともいい、前腕屈筋群の腱付着部症で『ゴルフ肘』『野球肘』とも呼ばれるが、頻度は外側型に比べ多くない。前腕屈筋群、伸筋群は手首や指の動きに非常に関係があり、手首や指の使い過ぎがテニス肘の原因となる。
1.× 肺経の絡穴は、列欠である。
列欠(※読み:れっけつ)は、前腕橈側、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分に位置する。
2.〇 正しい。心包経の郄穴は、罹患局所への施術対象となる経穴である。
心包経の郄穴は、郄門である。郄門(※読み:げきもん)は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸に位置する。
3.× 大腸経の絡穴は、偏歴である。
偏歴(※読み:へんれき)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。
4.× 三焦経の郄穴は、会宗である。
会宗(※読み:えそう)は、前腕後面、尺骨の橈側縁、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。
一般的に多くのテニス肘は、上腕骨外側上顆炎ともいい、手首を伸ばす筋肉に炎症が起こる病気である。はっきりした原因は不明であるが、主に手首を伸ばす筋肉に負担がかかることが関係していると考えられている。主な症状は、肘の外側から前腕の辺りに痛みである。
問題123 次の文で示す患者の病証に対し、募穴を用いて施術する際、最も適切な組合せはどれか。
「27歳の女性。精神的ストレスにより便秘と下痢を繰り返している。腹痛は排便により軽減する。痩せ型で腹鳴もみられることがある。」
1.期門:章門
2.日月:期門
3.中脘:章門
4.京門:章門
解答1
解説
・27歳の女性。
・精神的ストレス:便秘と下痢を繰り返す。
・腹痛:排便により軽減。
・痩せ型、腹鳴もみられる。
→本症例は、肝脾不和が疑われる。肝脾不和とは、肝臓と脾臓の連携が乱れ、脾臓から肝臓への受け渡しがうまくいかない状態である。症状として、胃痛、腹痛、食欲不振、お腹や胸の張り、イライラ、憂うつ感などである。
1.〇 正しい。期門:章門
期門は、肝の募穴である。期門(※読み:きもん)は、前胸部、第6肋間、前正中線の外方4寸に位置する。
章門は、脾の募穴である。章門(※読み:しょうもん)は、側腹部、第11肋骨端下縁に位置する。
2.× 日月:期門
日月は、胆の募穴である。日月(※読み:じつげつ)は、前胸部、第7肋間、前正中線の外方4寸に位置する。女性では、鎖骨中線と第7肋間との交点に取る。
3.× 中脘:章門
中脘は、胃の募穴である。中脘(※読み:ちゅうかん)は、上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸に位置する。
4.× 京門:章門
京門は、腎の募穴である。京門(※読み:けいもん)は、側腹部、第12肋骨端下縁に位置する。
問題124 次の文で示す病証に対して治療すべき足の経脈・経筋として最も適切なのはどれか。
「26歳の男性。主訴は膝の痛み。4日前に宴会で食べ過ぎた。その後、背中の張り感やだるさとともに、趣味のバスケットボールでジャンプしたときに膝に痛みを自覚する。舌中央部に黄厚膩苔がある。」
1.太陰経
2.厥陰経
3.陽明経
4.少陽経
解答3
解説
・26歳の男性(主訴:膝の痛み)
・4日前:宴会で食べ過ぎた。
・その後:背中の張り感やだるさ。
・ジャンプしたとき:膝に痛みを自覚。
・舌中央部に黄厚膩苔がある。
→本症例は、足の陽明胃経の症状が疑われる。足の陽明胃経は、顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。
1.× 太陰経
足の太陰脾経:舌が強ばりやすくなり、食べるとからえずきし、胃の辺りが痛み、腹部が張ってよくゲップが出る。大便や放屁すると今まであった不快感がなくなり楽になる。身体全体が重くなる。舌本が痛み、身体が動かしにくく、食べた物がつかえてなかなか下に降りていかない。横になっても不快感や胸苦しさで寝付きが悪くなり、無理に立とうとすると膝の内側が腫れて引きつってくる。足の親指が動かしにくい。
2.× 厥陰経
手の厥陰心包経:手掌全体が熱くなる。前腕から肘にかけて引きつったり強ばったりする。胸や脇腹が突っ張ったり、支えた感じや膨満感が起こってくる。心臓や胸中が憺憺として動悸を打ってくる。顔が赤黒くなり、目が黄ばむ、一旦笑い出すと止まらなくなる。胸中や心臓がモヤモヤし、心膜が痛んでくる。
3.〇 正しい。陽明経は、治療すべき足の経脈・経筋である。
本症例は、足の陽明胃経の症状が疑われる。足の陽明胃経は、顔面神経麻痺、喉や膝の皿が腫れたり痛んだりする。胃腸が張る。気衝~髀関、足の甲と流注上に痛みや熱感が出る。食べても食べてもお腹が空き、濃黄色の小便が出る。びっくりして不安な状態になる。独り塞ぎこんで窓を閉め家の中に閉じこもっている。高い所に登って歌を歌いだす。羞恥心を無くしたように裸になって走り出す。
4.× 少陽経
足の少陽胆経:口苦が起こり、大きなため息をつく、寝返りが打てない。顔に少し垢が付いたように黒くなる。体の艶が無くなる。足外反しほてる。頭やエラの所が痛む。まなじりが痛む。首に結核性のリンパ節炎ができる。往来寒熱の状態になり、あらゆる関節が痛む。
太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。
問題125 上腕骨外側上顆炎の患者に対するSOAP方式による記録で、Pに相当するのはどれか。
1.タオルがしぼりにくい
2.トムゼンテスト陽性
3.動作後のアイシング
4.短橈側手根伸筋の過緊張
解答3
解説
SOAP(subjective, objective, assessment, plan)とは、叙述的経過記録方式の問題志向型記録のことである。
S=主観的データ(自覚症状などの患者の訴え)
O=客観的データ(他覚所見:診察所見・血液検査・検査所見)
A=評価(S・Oをもとにした患者の状態の評価・考察)
P=計画(Aをもとにした今後の検査・治療・患者教育の計画・方針)
で、経過を記録する。
1.× タオルがしぼりにくい
これが、患者の発言であればSに相当する。
2.× トムゼンテスト陽性
これは、整形外科の評価結果であるためOに相当する。Thomsen(トムセン)テストの陽性は、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)を疑う。方法は、握りこぶしにして手関節を背屈させ、検者が掌屈させようとする。テニス肘とは、上腕骨外側上顆炎ともいい、手首を伸ばす筋肉に炎症が起こる病気である。はっきりした原因は不明であるが、主に手首を伸ばす筋肉に負担がかかることが関係していると考えられている。主な症状は、肘の外側から前腕の辺りに痛みである。
3.〇 正しい。動作後のアイシングは、Pに相当する。
これは、評価のもとに治療計画を立てているためPに相当する。
4.× 短橈側手根伸筋の過緊張
これは、触診の評価結果のあと、それをもとに評価・考察しているためAに相当する。