第34回(R8年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後156~160】

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次の症例について、問題155、156の問いに答えよ。
 「38歳の女性。主訴は左側頭部痛。目の前がチカチカしてから1時間以内に痛みが起こり、拍動性で嘔気を伴う。発症すると痛みのため仕事を休んでしまう。」

問題156 郄穴を用いて循経取穴による治療を行う場合、最も適切なのはどれか。

1.孔最
2.外丘
3.金門
4.中都

解答

解説

本症例のポイント

・38歳の女性(主訴:左側頭部痛)。
・目の前がチカチカしてから1時間以内に痛みが起こる。
拍動性で嘔気を伴う。
・発症すると痛みのため仕事を休んでしまう。
→本症例は、前兆を伴う片頭痛が疑われる。「側頭部痛 → 足少陽胆経 → 胆経の郄穴 → 外丘」となる。

1.× 孔最は、手太陰肺経の郄穴である。
・孔最は、前腕前外側、尺沢と太淵を結ぶ線上、手関節掌側横紋の上方7寸に位置する。

2.〇 正しい。外丘に対し、郄穴を用いて循経取穴による治療を行う。なぜなら、外丘は、足少陽胆経の郄穴であり、胆経は側頭部を走行するため。
・外丘は、下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸に位置する。陽交と下巨虚(胃経)との間にあたる。

3.× 金門は、足太陽膀胱経の郄穴である。
・金門は、足背、外果前縁の遠位、第5中足骨粗面の後方、立方骨下方の陥凹部に位置する。

4.× 中都は、足厥陰肝経の郄穴である。
・中都は、下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸に位置する。

 

 

 

 

 

次の症例について、問題157、158の問いに答えよ。
 「45歳の女性。心窩部右側の強い痛みと悪心があり近医を受診。血中コレステロール、中性脂肪はともに高値でBMIは27。右肩への放散痛があり、マーフィー徴候は陽性。背部叩打痛と便通異常はない。」

問題157 合併する症状で最も考えられるのはどれか。

1.眼球結膜の黄染
2.肋間部の発疹
3.グル音の亢進
4.血尿

解答

解説

本症例のポイント

・45歳の女性(BMI:27)。
・心窩部右側の強い痛みと悪心。
・血中コレステロール、中性脂肪はともに高値
・右肩への放散痛があり、マーフィー徴候は陽性。
・背部叩打痛と便通異常はない。
→本症例は、胆石症・急性胆嚢炎が疑われる。

→Murphy徴候(マーフィー徴候)とは、急性胆嚢炎の徴候として用いられている。検者の手で右季肋下を圧迫した状態で患者に深吸気を促した際、疼痛により吸気が止まる所見を認めた場合、陽性と判断する。

1.〇 正しい。眼球結膜の黄染が合併する症状で最も考えられる。
なぜなら、胆石症・急性胆嚢炎では、胆道閉塞や胆道系合併症により黄疸を伴いうるため。

2.× 肋間部の発疹は、帯状疱疹が疑われる。
・帯状疱疹とは、身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気である。多くの人が子どものときに感染する水ぼうそうのウイルスが原因で起こる。

3.× グル音の亢進は、腸閉塞などの腸管通過障害が疑われる。
・腸閉塞とは、小腸や大腸が何らかの原因で詰まってしまうことである。腹痛に加えて腹部膨満、嘔吐、便やガスが出にくいなどがみられやすい。

4.× 血尿は、尿路結石が疑われる。
・尿路結石とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。尿検査で血尿が認められた場合には尿管結石が強く疑われる。

閉塞性黄疸とは?

黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの(溶血性貧血)、②肝細胞の障害によるもの(肝実質性黄疸)、③胆汁の流れの障害によるもの(閉塞性黄疸)、④体質によるもの(体質性黄疸)、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。

 

 

 

 

次の症例について、問題157、158の問いに答えよ。
 「45歳の女性。心窩部右側の強い痛みと悪心があり近医を受診。血中コレステロール、中性脂肪はともに高値でBMIは27。右肩への放散痛があり、マーフィー徴候は陽性。背部叩打痛と便通異常はない。」

問題158 主訴を主治する奇穴を取穴する場合の指標として最も適切なのはどれか。

1.腰三角
2.膝蓋骨底
3.膝蓋靱帯
4.腓骨頭

解答

解説

本症例のポイント

・45歳の女性(BMI:27)。
・心窩部右側の強い痛みと悪心。
・血中コレステロール、中性脂肪はともに高値
・右肩への放散痛があり、マーフィー徴候は陽性。
・背部叩打痛と便通異常はない。
→本症例は、胆石症・急性胆嚢炎が疑われる。

→Murphy徴候(マーフィー徴候)とは、急性胆嚢炎の徴候として用いられている。検者の手で右季肋下を圧迫した状態で患者に深吸気を促した際、疼痛により吸気が止まる所見を認めた場合、陽性と判断する。

1.× 腰三角とは、腹部の下背部に存在する三角形である。
・前縁:外腹斜筋
・後縁:広背筋
・下縁:腸骨稜

2.× 膝蓋骨底は、鶴頂(膝頂)の位置である。
・鶴頂(膝頂)は、膝関節部、膝蓋骨底上際中央の陥凹部に取る。
【主治】膝関節疾患、下肢の麻痺

3.× 膝蓋靱帯は、内膝眼の位置である。
・内膝眼は、膝前面、膝蓋靱帯内方の陥凹部に取る。
【主治】膝関節疾患、脚気、中風、下肢痛、下肢倦怠感

4.〇 正しい。腓骨頭は、主訴を主治する奇穴を取穴する場合の指標として最も該当する。
なぜなら、本症例の主訴が胆嚢炎・胆石症を示し、その奇穴である胆嚢点をとるため。
・胆嚢点(※読み:たんのうてん):陽陵泉(胆)の下約1寸に取る。
【主治】胆嚢炎、胆石症、胸脇痛、下肢痛、下肢運動麻痺

 

 

 

 

 

次の症例について、問題159、160の問いに答えよ。
 「67歳の男性。主訴は動作時の呼吸困難。痩せて樽状胸郭を呈している。呼吸機能検査で1秒率の低下、胸部エックス線検査で肺野の透過性亢進を認めた。ブリンクマン指数は940。」

問題159 疾患として最も考えられるのはどれか。

1.気管支拡張症
2.COPD
3.肺結核
4.間質性肺炎

解答

解説

本症例のポイント

・67歳の男性(主訴:動作時の呼吸困難)。
・痩せて樽状胸郭を呈している。
・呼吸機能検査:1秒率の低下
・胸部エックス線検査:肺野の透過性亢進
・ブリンクマン指数:940
→本症例は、COPDが疑われる。

1.× 気管支拡張症より優先されるものが他にある。なぜなら、気管支拡張症は、咳・膿性痰・反復感染が中心であるため。
・気管支拡張症とは、気道(特に中小気管支)が恒久的に拡張し、不可逆的な変化が生じる疾患である。主な症状は、咳・痰・血痰(喀血)である。原因は、先天的な原因や幼小児期の肺炎、繰り返す感染などで、気管支壁が壊れたり弱くなることにより生じる。異物を排除して感染予防に重要な呼吸器系の線毛の機能が低下するため感染が生じ易くなり、その結果、副鼻腔炎と気管支拡張症を生じる。また、線毛と関連して精子の鞭毛の異常を伴う。

2.〇 正しい。COPDは、疾患として最も考えられる。
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2

3.× 肺結核より優先されるものが他にある。なぜなら、肺結核は、典型的なのは慢性咳嗽、発熱、寝汗、体重減少、血痰などであるため。

4.× 間質性肺炎より優先されるものが他にある。なぜなら、間質性肺炎は、基本的に拘束性換気障害を示すため。
・拘束性換気障害とは、1秒率が70%以上であるが、%肺活量が80%未満となる換気障害のことである。
・間質性肺炎とは、肺の間質組織の線維化が起こる疾患の総称で、慢性的かつ進行性の特徴を持つ。病因は、喫煙、職業上の曝露、感染、免疫不全などである。症状は咳、痰、呼吸困難などで、早期には特徴的な症状がないこともある。

肺結核とは?

肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。

 

 

 

次の症例について、問題159、160の問いに答えよ。
 「67歳の男性。主訴は動作時の呼吸困難。痩せて樽状胸郭を呈している。呼吸機能検査で1秒率の低下、胸部エックス線検査で肺野の透過性亢進を認めた。ブリンクマン指数は940。」

問題160 定喘穴に対する2Hzの持続的な鍼通電療法により呼吸困難が改善した。
 中枢を介した呼吸困難の改善に最も関与すると考えられるのはどれか。

1.メラトニン
2.ナロキソン
3.ノシセプチン
4.βエンドルフィン

解答

解説

本症例のポイント

・本症例は、COPDが疑われる。
・定喘穴に対する2Hzの持続的な鍼通電療法により呼吸困難が改善した。
→定喘は、上背部、第7頸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方5分に位置する。
【主治】咳嗽、喘息、蕁麻疹、上肢麻痺

1.× メラトニンとは、夜間に脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計による夜間の身体の休息を促す働きを持つ。メラトニン分泌量が低下するため睡眠障害が起こりやすくなる。

2.× ナロキソンとは、オピオイド受容体の拮抗薬であり、内因性オピオイドや外因性オピオイド(モルヒネなど)の作用を阻害する。

3.× ノシセプチンとは、神経細胞が作るペプチドの一種である。痛み、ストレス、不安、食欲、記憶などの調節に関わり、オピオイドに似た受容体に作用する。

4.〇 正しい。βエンドルフィンは、中枢を介した呼吸困難の改善に最も関与すると考えられる。βエンドルフィンは脳内で働く内因性オピオイドである。痛みや苦痛の感じ方を弱め、不安を和らげるため、呼吸そのものより「息苦しさの自覚」を中枢で軽減しやすいと考えられる。

β-エンドルフィンとは?

血中β-エンドルフィンとは、別名「脳内麻薬」といわれる神経伝達物質で強力な鎮通作用や多幸感をもたらすといわれている。マラソン選手が苦しいのを通り過ぎると気持ちよくなるランナーズハイと言われている状態でも分泌されているようである。陣痛は波があるが、お休みの時にウトウトしてしまうことがある。これはβエンドルフィンによるものである。産痛を乗り切るための眠気(初産婦81%、経産婦54%)は血中β-エンドルフィンが関与していると報告されている。

 

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