第27回(H31年)柔道整復師国家試験 解説【午前46~50】

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問題46 左肺で通常欠損している区域はどれか。

1.区域3
2.区域5
3.区域7
4.区域9

答え.3

解説

(※図引用:「肺の解剖と機能について」信州大学様HPより)

肺区域

右肺は3葉・左は2葉、さらに右肺は10区域、左肺は8区域に分けることができる。

1.× 区域3は、両肺の上葉に位置する。
2.× 区域5は、右肺は中葉に、左肺は上葉に位置する。
3.〇 正しい。区域7は、左肺で通常欠損している区域である。右肺の下葉に位置する。
4.× 区域9は、両肺の下葉に位置する。

(※画像引用:中高津クリニック様HP)

 

 

 

 

 

問題47 横隔膜の食道裂孔を通過するのはどれか。

1.胸管
2.横隔神経
3.迷走神経
4.交感神経幹

答え.3

解説
1.× 胸管は、大動脈裂孔を通る。
大動脈裂孔とは、第12胸椎の椎体前面にあり、下行大動脈と動脈周囲交感神経叢(大内臓神経・小内臓神経など)、奇静脈、胸管などが通る。ちなみに、胸管とは、最大のリンパ管である。下半身と左上半身のリンパを集める全長35~40cmのリンパ管である。胸管は鎖骨下静脈に接続し、リンパ液を血液中に戻す。 またリンパ液は、組織中の異物(細菌など)、がん細胞、死んだ細胞や損傷した細胞などを廃棄するためにリンパ管やリンパ器官に運ぶ役割も担っている。

2.× 横隔神経
横隔神経とは、第四頚神経を中心に構成され、首から縦隔を通って横隔膜にいたる。横隔神経は、運動神経、感覚神経、交感神経の線維を含む。 横隔膜は、この神経のみで運動と感覚を支配されている。 感覚神経は、腱中心からの情報を受け取る。 胸郭においては、縦隔胸膜と心膜に枝を出す。

3.〇 正しい。迷走神経は、横隔膜の食道裂孔を通過する。
横隔膜は、胸とお腹を隔てており、呼吸に寄与する。その横隔膜と食道がぎりぎり通る隙間を食道裂孔といい、食道と迷走神経が通る。これは、第10胸椎に位置する。

4.× 交感神経幹
交感神経幹とは、脊椎の傍らにあり、ほぼ頭蓋骨の底部から尾骨まで縦走する神経線維の束である。左右に一本ずつあり、この線維束の中に交感神経の神経節が並ぶ。

縦隔とは?

縦隔とは左右の肺の間に位置する部分のことを指す。心臓、大血管、気管、食道、胸腺などの臓器がある。

 

 

 

 

 

問題48 腎臓で正しいのはどれか。

1.腎小体は髄質にある。
2.右腎静脈に右精巣静脈が流入する。
3.腎筋膜は腎臓、副腎を包む。
4.腎洞から弓状動脈が放射状に入る。

答え.3

解説

(※図引用:「イラストボックス様」より)

下大静脈に直接流入するのは主に下半身(横隔膜以下の部)の静脈血

具体的には・・・
①肝静脈
②腎静脈
③右精巣(卵巣)静脈
④腰静脈
⑤総腸骨静脈
※左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。

1.× 腎小体は、「髄質」ではなく皮質にある。
腎小体から近位尿細管→Henle係蹄→遠位尿細管へとつながる。腎小体(糸球体とボーマン嚢を合わせて腎小体)は、腎皮質にある。

2.× 右腎静脈には、「右精巣静脈」ではなく下大静脈が流入する。
ちなみに、精巣静脈は左右で異なり、左精巣静脈は左腎静脈に入る。

3.〇 正しい。腎筋膜は腎臓、副腎を包む
腎臓は外側から腎筋膜(ゲロタ筋膜)→脂肪被膜→腎被膜(線維被膜)の順に包まれている。
腎筋膜(ゲロタ筋膜):密性結合組織の膜状の構造物。筋組織を包んでいるのではなく、腎臓・副腎をつつんだ脂肪被膜を覆う。前葉と後葉が腎の外側方で合わさり、さらに腹壁の筋群の内面を被う「横筋筋膜」へと続く。
脂肪被膜:腎臓・副腎をつつむ脂肪組織の塊。
腎被膜(線維被膜):薄く堅い結合組織の被膜で、腎臓表面を覆う。

4.× 腎洞から「弓状動脈」ではなく葉間動脈が放射状に入る。
腎洞とは、腎門の奥にある腎の中心部である。腹大動脈→腎動脈→葉間動脈→弓状動脈→輸入細動脈→糸球体→輸出細動脈→弓状静脈→葉間静脈→腎静脈→下大静脈と流れる。弓状動脈とは、腎臓の腎皮質と腎髄質の境界に沿ってアーチ状に走る動脈である。ここから小葉間動脈が腎皮質表面に向かって放射状に分岐した放線動脈となる。

尿生成の流れ

尿は腎小体(糸球体→Bowman嚢)で濾過され、尿細管(近位尿細管→ヘンレのループ→遠位尿細管→集合管)を通り腎杯、腎盂 (腎盤)、尿管、膀胱、尿道へと流れていく。糸球体から遠位尿細管までの部分をネフロン(腎単位)という。

 

 

 

 

 

問題49 膀胱三角で誤っているのはどれか。

1.射精管が開口する。
2.尿管が開口する。
3.内尿道口がある。
4.粘膜表面は平滑である。

答え.1

解説

(※図引用:「男性の尿道括約筋」illustAC様HPより)

膀胱三角とは?

左右の尿管口と内尿道口の3点を結んだものが膀胱三角と呼ばれている。

1.× 射精管が開口するのは、「膀胱三角」ではなく尿道である。
射精管は、射精時に精液の通過する管である。前立腺の後ろ側で精管膨大部と精嚢が合流し、射精管となる。

2.〇 正しい。尿管が開口する。
膀胱三角とは、左右の尿管口と内尿道口の3点を結んだ三角形のことである。

3.〇 正しい。内尿道口がある。
膀胱三角とは、左右の尿管口と内尿道口の3点を結んだ三角形のことである。

4.〇 正しい。粘膜表面は平滑である。
膀胱の粘膜表面にはヒダはないことが特徴である。

 

 

 

 

 

問題50 前立腺で正しいのはどれか。

1.尿管で貫かれる。
2.直腸の前方に接する。
3.膀胱の上方に位置する。
4.酸性の液を分泌する。

答え.2

解説

(※図引用:「男性の尿道括約筋」illustAC様HPより)

前立腺とは?

前立腺とは、男性にしかない生殖器の一つで、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護する役割を持っている。前立腺は、直腸と恥骨の間にあり、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいる。

1.× 「尿管」ではなく尿道で貫かれる。
尿道とは、排尿において膀胱から外尿道口までの排泄路である。ちなみに、尿管とは、腎臓(腎盂)から膀胱まで蠕動運動により尿を輸送する器官である。

2.〇 正しい。直腸の前方に接する
前立腺は、膀胱の下部にあり、直腸の前方に位置している。

3.× 膀胱の「上方」ではなく下方に位置する。

4.× 「酸性」ではなく弱アルカリ性の液を分泌する。
前立腺の分泌物は、精液であり、弱アルカリ性によって、女性の膣内の酸性の環境が中和され、精子が活動しやすくなる。

尿管とは?

尿管とは、腎盂から膀胱へ尿を運ぶ長さ30cm程の管である。蠕動運動により尿を輸送する。

【尿管の生理的狭窄部】
①腎盂尿管移行部(膀胱壁貫通部)
②総腸骨動静脈交差部
③尿管・膀胱移行部

尿管壁は粘膜・筋層・外膜からなる。
粘膜は移行上皮、筋層は平滑筋で、尿は蠕動運動により膀胱へ運ばれる。

 

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