第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前1~5】

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問題1 自他共栄で正しいのはどれか。

1.特定の人の利益になるように働くこと。
2.他人を助けるにはまず自分が幸福になること。
3.自己の精力が及ぶ限り大なる効力を他に顕すこと。
4.多数の人と話し合い助け合いながら共同の目的を達成すること。

答え.4

解説
1.× 特定の人の利益になるように働くこと。
自他共栄には、「特定」ではなく、自分を含めた世の中の人が対象である。

2.× 他人を助けるにはまず自分が幸福になること。
自他共栄には、「まず自分」といった優先順位はない。

3.× 自己の精力が及ぶ限り大なる効力を他に顕すこと。
自他共栄には、「自己」だけではなく、お互いの相互関係が重要である。顕す(※読み:あらわす)とは、善行等を世間に知らすといった意味を持つ。

4.〇 正しい。多数の人と話し合い助け合いながら共同の目的を達成することは、「自他共栄」である。
自他共栄(※読み:じたきょうえい)は、互いに信頼し、助け合うことができれば、自分も世の中の人も共に栄えることができることを意味する。「精力善用」と共に嘉納治五郎が創始した講道館柔道の指針として掲げられている言葉である。

 

 

 

 

 

問題2 柔道の礼法で正しいのはどれか。

1.立礼は上体を約60度曲げる。
2.礼の時間は一呼吸である。
3.坐礼は臀部を踵から離す。
4.正坐から立つときは左足から立つ。

答え.2

解説

座礼とは?

座礼とは、座った状態で「礼」をすることである。柔道では、「礼」に始まり礼に終わるというように、「礼」の心が大切にされる。道場での練習や試合の始めと終わりには必ず「礼」をする。
【座礼の方法】
①座る際:背筋を伸ばし左足を後ろに引きながら膝をつき、続いて右ひざをついたあと、親指を重ねてお尻を落とす。
②礼:顎を引いて正しい姿勢をとり、背筋を伸ばしたまま、両手をハの字の形に開いて畳に置き、頭が畳と30cm間になるくらいまで上体を傾ける。※女子の場合は両膝をつけて座る。
③立つ際:背筋を伸ばし右足を前に出し足底をつき、続いて左足を出して立ち上がる。

1.× 立礼は上体を「約60度」ではなく約30度曲げる。
立礼:礼をする方向に正対して直立の姿勢をとり、次いで上体を静かに曲げ(約30度)、両手の指先が膝頭の上・握り拳約一握りくらいのところまで体に沿わせて滑り下ろし、敬意を表する。この動作ののち、おもむろに上体を起こし、元の姿勢にかえる。

2.〇 正しい。礼の時間は一呼吸である
この間の時間は通常呼吸で約一呼吸(約4秒)である。

3.× 坐礼は臀部を踵から「離す」のではなくつける
直立の姿勢から、まず左足を約一足長半ひいて、体を大体垂直に保ったまま、左膝を左足先があった位置に下ろす(爪立てておく)。次いで、右足を同様にひいて爪立てたまま右膝を下ろす(この場合、両膝の間隔は大体握り拳二握りとする)。次いで、両膝の爪先を伸ばし、両足の親指と親指とを重ねて臀部を下ろし、体をまっすぐに保って坐る。両手は、両大腿の付け根に引きつけて指先をやや内側に向けておく。

4.× 正坐から立つときは「左足」ではなく右足から立つ。

(※参考:「柔道試合における礼法(抜粋) 」文部科学省より)

 

 

 

 

 

問題3 定型的鎖骨骨折でみられないのはどれか。

1.屈曲転位
2.延長転位
3.側方転位
4.短縮転位

答え.2

解説

定型的鎖骨骨折とは?

定型的鎖骨骨折は、近位骨片が胸鎖乳突筋の作用で後上方に転移するものをさす。

1.〇 屈曲転位
屈曲転位とは、傾くように曲がって角度がついたものをいう。

2.× 延長転位は、定型的鎖骨骨折でみられない。
なぜなら、鎖骨は、胸骨と肩甲骨に挟まれているため。延長する余地(面積、スペース)がない。ちなみに、延長転位とは、離れるように動いたものをいう。

3.〇 側方転位
側方転位とは、骨折によって分断された骨が側方に平行移動したものをいう。

4.〇 短縮転位
短縮転位とは、すれ違うように移動し重なったものをいう。

転移の種類

転位とは、骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にあることをいう。骨転位ともいう。骨折時の衝撃で起こる転位を一次性転位と呼び、骨折後の運搬時などの力で起こる転位を二次性転位と呼ぶ。転位は、形状によっても分類される。完全骨折の場合、一カ所の骨折でも複数種類の転位が見られることが多い。転位の見られる骨折の治療では、整復によって骨を本来の位置に戻してから固定する必要がある。
①側方転位とは、骨折によって分断された骨が側方に平行移動したものをいう。
②屈曲転位とは、傾くように曲がって角度がついたものをいう。
③捻転転位とは、ねじれるように軸回転したものをいう。
④延長転位とは、離れるように動いたものをいう。
⑤短縮転位とは、すれ違うように移動し重なったものをいう。

 

 

 

 

 

問題4 定型的鎖骨骨折で誤っているのはどれか。

1.セイヤー絆創膏固定
2.ハンギングキャスト固定
3.8字帯固定
4.T字状副子固定

答え.2

解説

定型的鎖骨骨折とは?

定型的鎖骨骨折は、近位骨片が胸鎖乳突筋の作用で後上方に転移するものをさす。

1.〇 セイヤー絆創膏固定
セイヤー絆創膏固定とは、鎖骨骨折時の固定法で転位の少ないもの・応急処置時に用いられる。

2.× ハンギングキャスト固定は、定型的鎖骨骨折で誤っている。
ハンギングキャストは、ずれのある上腕骨近位端骨折に用いられる。脇の下から手部までギブスをまいてその重みで整復する。ちなみに、ずれが無いものは、三角巾固定で行う。

3.〇 8字帯固定
8字帯固定は、亀甲帯ともいい、鎖骨骨折の治療でよく用いられる方法である。関節部を中心に8の字に交差させながら巻いていく方法。で、屈曲・伸展がある程度可能なので、肘関節や膝関節、足関節などの被覆(保護)にも用いられる。

4.〇 T字状副子固定
副子固定法は、骨折・捻挫などの部位を安静に保つため、副子を当てて固定する方法である。平板やアルミなど既製の副子がない場合には、雑誌など充分な固さと固定できる長さのものがあれば、応急副子として利用することができる。

セイヤー絆創膏固定法

セイヤー絆創膏固定法とは、鎖骨骨折時の固定法である。
【役割】
腋窩枕子:末梢牽引を行うためのテコの支点の働き。
第1帯:肩を外方に引き鎖骨の短縮転位を防止する。
第2帯:患肢を挙上させて下方転位を防止する。
第3帯:前腕の重量で骨折部に圧迫力を加える。

 

 

 

 

 

問題5 上腕骨外科頸外転型骨折の後でよくみられるのはどれか。

1.骨化性筋炎
2.ズデック(Sudeck)骨萎縮
3.関節拘縮
4.阻血性壊死

答え.3

解説

上腕骨外科頚骨折外転型について

発生機序:肩外転位で手掌、肘を衝いて転倒
鑑別疾患:肩関節前方脱臼
好発年齢層:高齢者
腱板損傷:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
整復前の確認:腋窩動脈(橈骨動脈)、腋窩神経の確認

【上腕骨外科頸外転型骨折の転位・変形】
・近位骨片は軽度内転
・遠位骨片は軽度外転
・遠位骨折端は前内上方へ転位
・骨折部は前内方凸の変形

1.× 骨化性筋炎は、大腿骨骨幹部骨折固定除去後の後療法で注意する。
骨化性筋炎とは、打撲などの外傷によって、筋肉の中に骨と同じような組織ができてしまう疾患のことである。 外傷性骨化性筋炎、骨化性筋炎とも言う。 損傷を受けた筋肉が出血して血腫ができたところに、カルシウムが沈着し、石灰化しておこる。

2.× ズデック(Sudeck)骨萎縮は、CRPS typeⅠ(複合性局所疼痛症候群)に分類される後遺症の一つである。
複合性局所疼痛症候群とは、軟部組織もしくは骨損傷後(Ⅰ型:反射性交感神経性ジストロフィー)または神経損傷後(Ⅱ型:カウザルギー)に発生して、当初の組織損傷から予測されるより重度で長期間持続する、慢性の神経障害性疼痛である。その他の症状として、自律神経性の変化(例:発汗、血管運動異常)、運動機能の変化(例:筋力低下、ジストニア)、萎縮性の変化(例:皮膚または骨萎縮、脱毛、関節拘縮)などがみられる。疼痛をコントロールしながら、左手(疼痛側)の使用機会を増やす介入が必要である。ちなみに、Sudeck骨萎縮とは、骨折などの外傷、または、その手術の後に、急速な自発痛、運動痛、浮腫とともに著明な骨萎縮をきたす場合の骨変化のことである。骨折に合併した自律神経系の血管運動神経失調によって、末梢血管の血流不全から起こるものといわれている。

3.〇 関節拘縮は、上腕骨外科頸外転型骨折の後でよくみられる。
なぜなら、上腕骨外科頚骨折外転型の合併症の一つに、腱板損傷があげられる。腱板損傷により肩関節の可動域制限をきたし、関節拘縮をきたしやすくなる。

4.× 阻血性壊死は、①上腕骨解剖頸、②舟状骨、③大腿骨頸部、④大腿骨顆部、⑤距骨で起こりやすい。
骨壊死には①症候性(外傷や塞栓症などによる血流途絶が原因)と②特発性(明らかな誘因がない阻血性壊死)がある。血行不良のため骨折後の再生が困難となる。阻血性骨壊死とは、骨壊死または骨梗塞ともいい、血液供給が阻害されることによりおこる骨組織の壊死である。 早期段階では、症状がみられない場合がある。 悪化していくと関節の痛みが増し、動きが制限されることがある。骨壊死が最も起こりやすい部位は、大腿骨頭、膝関節、肩関節の上腕骨頭などである。 男性および30~50歳で起こることが最も多く、しばしば両股関節や両肩関節に起こる。危険因子には、骨折、関節脱臼、アルコール依存症、高用量ステロイドの使用などがあげられる。また、この症状は、明確な理由が無くても発生する場合もある。

 

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