第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午後121~122】

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問題121 16歳の男子。陸上部に所属している。練習中の膝屈伸時に膝関節部に疼痛を訴え来所した。特に既往はないが、膝蓋骨内側に圧痛がみられ屈伸に伴いクリックを触知する。その他の部位に圧痛はなく、視診で目立った下肢の変形もみられない。
 考えられるのはどれか。

1.鷲足炎
2.滑膜ヒダ障害
3.ジャンパー膝
4.腸脛靱帯炎

答え.2

解説

本症例のポイント

・16歳の男子(陸上部)。
膝屈伸時膝関節部に疼痛あり。
・特に既往はなし。
・膝蓋骨内側に圧痛あり、屈伸に伴いクリックを触知。
・その他:圧痛、変形なし。
→病名と症状をしっかり覚えておこう。名前からもある程度推測できる。

1.× 鷲足炎
鷲足炎とは、鵞足にある滑液包の炎症(滑液包炎)である。滑液包炎は通常、繰り返される摩擦とストレスによって発症する。特に膝の屈曲や内旋動作が鵞足への負担となる。ちなみに、鵞足は、縫工筋、薄筋、半腱様筋の停止部である。

2.〇 正しい。滑膜ヒダ障害が考えられる。
滑膜ヒダとは、膝関節の関節包内にあるひだ状の部分で、膝の屈伸時にクリック音を触知する特徴がある。ほかにも、運動時に疼痛や違和感を生じる。膝関節の膝蓋内側滑膜ヒダが屈伸運動時に膝蓋骨と大腿骨内側課との間に挟まり機能的刺激を受けて肥厚する。内側滑膜ヒダは関節鏡で見ると棚のようにみえることから、タナ障害とも呼びます。

3.× ジャンパー膝
ジャンパー膝とは、ジャンピングなどの繰り返し行動による過度のストレスが膝蓋腱に与えられることにより、膝蓋骨周囲の疼痛や腫脹を生じている状態を指す。バスケットボールやバレーボールなどのスポーツによる膝伸展機構の使いすぎによって起こる。

4.× 腸脛靱帯炎
ランナー膝とは、腸脛靱帯炎ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。

 

 

 

 

 

問題122 48歳の女性。バレーボールの練習中、ボールを追いかけて、左中指を床に引っ掛け過伸展・尺側強制され受傷した。来所時、左手を握らせた時の写真を下図に示す。
 損傷部位はどれか。

1.中手骨
2.基節骨
3.中節骨
4.末節骨

答え.2

解説

本症例のポイント

・48歳の女性(バレーボールの練習)。
・受傷:左中指を床に引っ掛け過伸展・尺側強制された。
・左手を握らせた時の写真:クロスフィンガーがみられる。
→本症例は、クロスフィンガーがみられる。クロスフィンガーとは、患指が隣の指の下側に潜り込むという症状で、指が重なった状態で固定される。中手骨や基節骨の骨折時に生じる。本症例の場合、写真ではPIP関節から偏位が伴っているため基節骨部が損傷部位と考えられる。

(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)

1.× 中手骨
MP関節から変位していた場合は、中手骨骨幹部骨折を疑う。

2.〇 正しい。基節骨が損傷部位である。
本症例は、クロスフィンガーがみられる。クロスフィンガーとは、患指が隣の指の下側に潜り込むという症状で、指が重なった状態で固定される。中手骨や基節骨の骨折時に生じる。本症例の場合、写真ではPIP関節から変位が伴っているため基節骨部が損傷部位と考えられる。

3~4.× 中節骨/末節骨
DIP関節を構成する骨である。

 

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