第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午前71~75】

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問題71 プロゲステロンを分泌するのはどれか。

1.セルトリ細胞
2.パネート細胞
3.ルテイン細胞
4.ライディッヒ細胞

答え.3

解説

プロゲステロンとは?

プロゲステロン(黄体ホルモン)は、基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすい状態にする作用を持つ。プロゲステロン(黄体ホルモン)は、性周期が規則的で健常な成人女性において、着床が起こる時期に血中濃度が最も高くなるホルモンである。着床が起こる時期とは、月経の黄体期である。黄体期は、排卵した後の卵胞(黄体)から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになる時期である。

1.× セルトリ細胞
セルトリ細胞とは、脊椎動物の細精管壁の基底部のところどころにある大型の細胞である。精子を形成していく細胞群を物理的・内分泌的にサポートし、これらの細胞の維持・分化に重要な働きをする。ちなみに、精細管とは、精巣内でセルトリ細胞と精子および精子の元になる細胞で作られる管腔構造したものである。セルトリ細胞が円周上に並び、その隙間に精子の元になる細胞が接着する。外周から中心に向かって精子形成が進行し、完成した精子は精細管の中心の内腔に向かってセルトリ細胞から切り離され、精細管内を運ばれていく。

2.× パネート細胞
パネート細胞とは、小腸上皮細胞の一種で、上皮細胞層の陰窩に位置する細胞である。その主な役割は、自然免疫による宿主防御であり、細胞質内に有する抗菌ペプチドαディフェンシン等を含む多数の分泌顆粒を刺激に応じて腸管管腔内に放出する。

3.〇 正しい。ルテイン細胞が、プロゲステロンを分泌する。
ルテイン細胞とは、黄体細胞ともいい、黄体(プロゲステロン)を構成する細胞である。黄体細胞はその由来する細胞から大型の顆粒層黄体細胞と小型の卵胞膜黄体細胞に分類される。顆粒層黄体細胞は卵胞上皮細胞に由来し、卵胞膜黄体細胞は卵胞膜内膜の内分泌細胞に由来する。

4.× ライディッヒ細胞
精巣には、精子形成の場である細精管のほかに、血管、リンパ管、神経、肥満細胞、および間細胞がある。間細胞とは、ライディッヒ細胞ともよばれ、脂質顆粒を含み、滑面小胞体がよく発達しており、雄性ホルモン(テストステロン)は主としてここから分泌される。

妊娠中の糖代謝の特徴

妊娠すると、胎盤から分泌されるホルモン(ヒト胎盤性ラクトゲン(HPL)、 プロゲステロン、 エストロゲン)の影響でインスリン抵抗性が強くなる。インスリン抵抗性とは、インスリンは十分な量が作られているけれども、効果を発揮できない状態である。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなることを指す。「インスリンの抵抗性が強くなる」ということは、つまり糖を効率よく取り込めない(分解できない)ことを意味する。したがって、連鎖的に下記の①~③のことが起こる。

①インスリンの過剰分泌→②食後血糖の上昇→③空腹時血糖の低下

糖質異常を有する妊婦の血糖コントロールは、低血糖のリスクを最小限にとどめ、可能な限り健常妊婦の血糖日内変動に近づけることを目標とする。これまでの報告では、食事療法やインスリン療法、血糖自己測定などを行い、良好な血糖値を維持することで、母児の予後が良好になることが示されている。血糖を厳格に管理するためには、血糖自己測定を活用し、適切な食事療法、運動療法、薬物療法(インスリン)を行っていくことが重要である。

 

 

 

 

 

問題72 下垂体後葉ホルモンはどれか。

1.オキシトシン
2.成長ホルモン
3.副腎皮質刺激ホルモン
4.プロラクチン

答え.1

解説

MEMO

 

1.〇 正しい。オキシトシンは、下垂体後葉ホルモンである。
オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌され、乳汁射出、子宮収縮作用を持つホルモンである。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。

2.× 成長ホルモン
成長ホルモンとは、下垂体前葉から合成・分泌されるホルモンで、成長促進作用や代謝作用などの作用がある。下垂体の前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性腺刺激ホルモンが、下垂体の後葉からは抗利尿ホルモンが分泌される。

3.× 副腎皮質刺激ホルモン
副腎皮質ホルモンとは、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などの総称で下垂体の前葉から分泌される。コルチゾール:血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがあるが、過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。

4.× プロラクチン
プロラクチン(催乳ホルモン)は、下垂体前葉から分泌されるホルモンである。プロラクチン放出ホルモンは視床下部から分泌される。乳腺の発育と乳汁の産生に働く。

 

 

 

 

 

問題73 ウェルニッケ野はどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D

答え.4

解説


1.× Aは、運動性言語中枢(ブローカ野:44野)である。
ブローカ野とは、大脳皮質にある言語活動をつかさどる中枢で、運動性言語中枢の役割は、主に言葉を話したり書いたりする。

2.× Bは、一次運動野(中心前回:4野)である。
一次運動野は、随意運動のプログラミングに関わる大脳皮質の高次運動野や頭頂連合野からの入力を統合して最終的な運動指令を形成し、これを下位中枢(脳幹や脊髄)へ出力する。

3.× Cは、一次感覚野(中心後回:1,2,3野)である。
一次運動野とは、随意運動のプログラミングに関わる大脳皮質の高次運動野や頭頂連合野からの入力を統合して最終的な運動指令を形成し、これを下位中枢(脳幹や脊髄)へ出力する。

4.〇 正しい。Dが、ウェルニッケ野(感覚性言語中枢:22野)である。
ウェルニッケ野とは、大脳皮質にある言語活動をつかさどる中枢で、感覚性言語中枢の役割は、言葉を聞き取って理解したり字を読んだりする。

 

 

 

 

 

問題74 写真を下に示す。
 矢印で示す部位のドーパミン作動性ニューロンが投射するのはどれか。

1.歯状核
2.オリーブ核
3.赤核
4.被殻

答え.4

解説

(図引用:中脳断面図 Wikiより)

MEMO

矢印の部分は、小脳の黒質である。Parkinson病と関連性が高い。

1.× 歯状核
歯状核は、小脳核の一つで、随意運動の制御に関与する。

2.× オリーブ核
厳密にいうと、オリーブ核には、①上オリーブ核、②下オリーブ核があげられる。①上オリーブ核は、聴覚の伝導路である。聴覚:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回。一方、下オリーブ核は、延髄の腹側にある神経細胞群のことで、運動中の誤差情報を小脳のプルキンエ細胞に伝送し、プルキンエ細胞における運動学習・内部モデルに関与する。

3.× 赤核
赤核とは、不随意の運動の調節(赤核振戦:粗大な動作で誘発される振戦)を担う。赤核脊髄路とは、運動野と小脳からの求心性線維を受け取るため、間脳と運動ニューロンを通じて脊髄の活動に影響を与える錐体外路として機能するものである。

4.〇 正しい。被殻は、矢印で示す部位のドーパミン作動性ニューロンが投射する。
中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至る。ドパミンは、中脳黒質から線条体に投射している中枢神経系に存在する神経伝達物質である。大脳基底核は、①線条体(被殻 + 尾状核)、②淡蒼球、③黒質、④視床下核である。

 

 

 

 

 

問題75 内側膝状体が関与しているのはどれか。

1.嗅覚路
2.視覚路
3.聴覚路
4.味覚路

答え.3

解説
1.× 嗅覚路
嗅覚は鼻腔上部の嗅部の粘膜上皮(嗅上皮)の嗅細胞で受容される。嗅細胞の中枢性突起が嗅神経となり、篩骨篩板を通って嗅球に入る。嗅球から後方に向かって嗅索が走り、その線維は大部分外側嗅条を通って海馬旁回の嗅覚野に達する。①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球→④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)に達する。・一次中枢:①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球まで。・二次中枢:④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)

2.× 視覚路
視覚路とは、網膜で受容される視覚刺激が、大脳皮質の視覚野に達するまでの経路である。視覚情報は網膜→視神経→視索を経て、視床後端にある外側膝状体に入る。そして内包後脚のレンズ下部を通り、側頭葉内を走り、後頭葉の内側面にある視覚野に達する。

3.〇 正しい。聴覚路は、内側膝状体が関与している。
聴覚刺激は、内耳のラセン器で受容され、双極細胞の末梢性突起を経て、中枢性突起に伝えられる。そして蝸牛神経として橋に入り、蝸牛神経核に達し、ニューロンを交代する。蝸牛神経核から起こる繊維が交差し台形体をつくる。その後、外側毛帯となり橋の背側部を上行→中脳下丘→視床後端にある内側膝状体に至る。ここで中継され、内包後脚のレンズ下部を通り、側頭葉の聴覚野(上側頭回の上面)に達する。

4.× 味覚路
味覚の伝導路は、味蕾(味細胞)→顔面神経(舌前2/3)、舌咽神経(舌後1/3)→延髄孤束核→視床→大脳味覚野となる。

 

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