第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前26~30】

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問題26 ハムストリングスの肉離れで正しいのはどれか。

1.筋腹に好発する。
2.求心性収縮で起こりやすい。
3.下肢長の不一致が原因となりえる。
4.損傷程度の評価にHBDを用いる。

解答

解説

ハムストリングスの肉離れ

好発部位:筋移行部
原因:ハムストリングスの遠心性収縮で発生する。
背景:筋疲労、筋損傷、柔軟性の低下、下肢長の不一致(脚の長さが違うこと)、左右の筋力のアンバランス、大腿四頭筋との筋力のアンバランスなど。

1.× 「筋腹」ではなく筋移行部に好発する。なぜなら、筋肉の収縮や伸張が繰り返され負荷がかかりやすいため。

2.× 「求心性収縮」ではなく遠心性収縮で起こりやすい。遠心性運動>等尺性運動>求心性運動の順に大きな筋張力を発揮できる。遠心性収縮とは、筋が収縮しているにも関わらず筋の全長が伸びる状態である。加えられた負荷が筋張力よりも大きければ、筋は収縮しても伸びる。これは最大張力の場合だけでなく、種々の筋張力レベルで起こる。日常の運動動作は、重力方向との関係で身体の種々の部分で遠心性収縮が起きている。遠心性収縮は、筋力増強効果が大きいとされるが、筋の損傷も大きい。

3.〇 正しい。下肢長の不一致が原因となりえる。なぜなら、下肢長の不一致(脚の長さが違うこと)で、片方の脚に余分な負荷がかかることにつながるため。

4.× 損傷程度の評価にHBD(踵殿距離)を用いるのは、「大腿四頭筋の損傷」である。踵殿距離とは、腹臥位で膝関節を屈曲させる。大腿四頭筋の柔軟性が向上するほど、踵殿距離は短くなる。

ハムストリングスとは?

ハムストリングスとは、3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称を指す。

大腿二頭筋
【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展、外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部

半膜様筋
【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部

半腱様筋
【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部

 

 

 

 

 

問題27 尻上がり現象がみられるのはどれか。

1.中間広筋損傷
2.大腿直筋損傷
3.半腱様筋損傷
4.大腿二頭筋損傷

解答

解説
1.× 中間広筋損傷は考えにくい。なぜなら、単関節筋であるため。中間広筋の【起始】大腿骨の前面と両側面、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展である。

2.〇 正しい。大腿直筋損傷は、尻上がり現象がみられる。なぜなら、2関節筋であるため。Elyテスト(エリーテスト)は、大腿直筋の短縮のテストである。短縮していた場合、腹臥位で膝関節を最大屈曲した際に、股関節が屈曲し、殿部が持ち上がる(尻上がり現象)。大腿直筋の【起始】下前腸骨棘および寛骨臼の上縁、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展、股関節屈曲である。

3.× 半腱様筋損傷は考えにくい。半腱様筋の【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲である。

4.× 大腿二頭筋損傷は考えにくい。大腿二頭筋の【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展・外旋、膝関節屈曲である。ハムストリングスの短縮には、下肢伸展挙上テストがあげられる。

ハムストリングスとは?

ハムストリングスとは、3つの筋肉(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の総称を指す。

大腿二頭筋
【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展、外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部

半膜様筋
【起始】坐骨結節、【停止】脛骨粗面、脛骨内側顆の後部、斜膝窩靭帯、膝窩筋筋膜、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部

半腱様筋
【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部

 

 

 

 

 

問題28 膝関節内側側副靱帯損傷で正しいのはどれか。

1.嵌頓症状
2.外反動揺性
3.膝後面の疼痛
4.前方引き出し陽性

解答

解説
1.× 嵌頓症状(※かんとん:膝に物がはさまり、曲げ伸ばしがしにくくなる状態)は、膝半月板損傷でみられるいわゆる「膝ロッキング現象」である。

2.〇 正しい。外反動揺性は、膝関節内側側副靱帯損傷で起こる。
内側側副靭帯とは、膝の外側からのストレス(外反ストレス)に抵抗することで、関節の内側部分が開きすぎるのを防ぐ役割を持つ靭帯である。外反ストレステストは、背臥位にて患側膝30°屈曲位と伸展位の両方で、検者は外反方向にゆっくりと強制する。側方動揺性や関節裂隙の開大が認められれば陽性と判断する。

3.× 膝後面の疼痛は、ハムストリングスの損傷で見られやすい。

4.× 前方引き出し陽性は、膝関節前十字靱帯損傷が疑われる。前方引き出しは、背臥位にて患側膝90°屈曲位で、検者は下腿を前方に引く。陽性の場合、脛骨は止まることなく前方に出てくる。

 

 

 

 

 

問題29 前十字靭帯損傷で正しいのはどれか。

1.非接触型の運動では単独損傷が多い。
2.腫脹は軽度なことが多い。
3.早期に観血療法を行う。
4.サギングがみられる。

解答

解説

前十字靭帯とは?

前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。

1.〇 正しい。非接触型の運動では単独損傷が多い。特にスポーツ中の急激な方向転換やジャンプの着地などの非接触型の運動で多く発生する。10代の女性に好発する。一方、接触型では、内側側副靭帯の損傷を合併しやすい。

2.× 腫脹は、「軽度」ではなく顕著なことが多い。症状として、膝くずれ、断裂音、疼痛、膝の不安定感、屈曲制限、関節血腫がみられる。

3.× 早期に観血療法を行うべきなのは、「前十字靭帯損傷」ではなく前十字靭帯断裂である。ちなみに、観血療法は、外科的療法ともいい、人体を傷つけ、出血させて治療する方法の総称(手術)である。それに対して、保存的療法とは出血させずに治療する方法である。

4.× サギングが「みられない」。サギングとは、後十字靭帯損傷の検査である。膝屈曲位での下腿の後方落ち込み現象を観察する。

 

 

 

 

 

問題30 膝関節半月板損傷で陽性となるのはどれか。

1.Nテスト
2.ラックマンテスト
3.マックマレーテスト
4.牽引アプライテスト

解答

解説
1.× Nテストは、前十字靭帯断裂を検査する。足部と下腿近位を把持し、膝関節屈曲位から腓骨頭を押し出すように下腿を内旋させ、そのまま他動的に伸張させる。膝屈曲20°付近から脛骨が前方・内旋方向へ亜脱臼すると陽性となる。

2.× ラックマンテストは、前十字靭帯損傷の検査である。背臥位で膝関節を20~30度屈曲させて、下腿部近位端を斜め前方へ引き出す。

3.〇 正しい。マックマレーテストは、膝関節半月板損傷で陽性となる。マックマレーテストは、①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。

4.× 牽引アプライテストは、膝関節側副靭帯損傷の検査法である。アプレー圧迫テストは、半月板損傷、アプレー牽引テストは、側副靭帯損傷を疑う。アプレー牽引テストは、うつ伏せで膝を90°屈曲し、大腿部を検者の膝で固定する。下腿を上方に引っ張り上げて膝の関節包を緊張させ、疼痛が誘発されると陽性である。

 

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