第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前56~60】

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問題56 横隔膜にある孔と通過する器官の組み合わせで正しいのはどれか。

1.大動脈裂孔-胸管
2.食道裂孔-奇静脈
3.食道裂孔-交感神経幹
4.大静脈孔-迷走神経

解答

解説

横隔膜とは?

横隔膜とは、胸郭と腹郭を分ける筋膜性の膜であり、縦郭の境界をなしている。他にも、横隔膜の役割は、呼吸に関与する。

横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面、【停止】腱中心、【作用】その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)、【支配神経】横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。

・横隔膜付近の孔に通過するもの
大動脈裂孔:下行大動脈、奇静脈、胸管、交感神経(大・小内臓神経など)
大静脈孔:下大静脈、右横隔神経
食道裂孔:食道、迷走神経、左横隔神経

1.〇 正しい。大動脈裂孔は、胸管が通る。大動脈裂孔とは、第12胸椎の椎体前面にあり、下行大動脈と動脈周囲交感神経叢(大内臓神経・小内臓神経など)、奇静脈、胸管などが通る。ちなみに、胸管とは、最大のリンパ管である。下半身と左上半身のリンパを集める全長35~40cmのリンパ管である。胸管は鎖骨下静脈に接続し、リンパ液を血液中に戻す。 またリンパ液は、組織中の異物(細菌など)、がん細胞、死んだ細胞や損傷した細胞などを廃棄するためにリンパ管やリンパ器官に運ぶ役割も担っている。

2~3.× 食道裂孔は、「奇静脈,交感神経幹」ではなく食道と迷走神経が通る。横隔膜は、胸とお腹を隔てており、呼吸に寄与する。その横隔膜と食道がぎりぎり通る隙間を食道裂孔といい、食道と迷走神経が通る。これは、第10胸椎に位置する。

4.× 大静脈孔は、「迷走神経」ではなく下大静脈と右横隔神経が通る。大静脈孔とは、第8胸椎の高さで右寄りに位置し、腱中心にある孔のことである。

 

 

 

 

 

問題57 大腿神経の支配を受けるのはどれか。

1.外閉鎖筋
2.長内転筋
3.恥骨筋
4.薄筋

解答

解説
1.× 外閉鎖筋の【起始】閉鎖膜の外面とそのまわり、【停止】大腿骨転子窩、【作用】股関節外旋、内転、【神経】閉鎖神経:L3,L4である。

2.× 長内転筋の【起始】恥骨結節の下方、【停止】大腿骨粗線内側唇の中部1/3、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】閉鎖神経前枝:L2~L4である。

3.〇 正しい。恥骨筋は、大腿神経の支配を受ける。恥骨筋の【起始】恥骨櫛、恥骨筋膜、【停止】恥骨筋線、【作用】股関節内転、屈曲、【神経】大腿神経、閉鎖神経前枝:L2,L3である。

4.× 薄筋の【起始】恥骨結合の外側、【停止】脛骨の内側面。停止腱は鵞足に加わる、【作用】股関節内転、膝関節屈曲と内旋、【支配神経】閉鎖神経前枝:L2~L4である。

 

 

 

 

 

問題58 鵞足を構成するのはどれか。

1.中間広筋
2.内側広筋
3.半腱様筋
4.大内転筋

解答

解説

鵞足とは?

鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。

1.× 中間広筋は、鵞足を構成しない。中間広筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】膝関節伸展、【神経】大腿神経:L2~L4である。

2.× 内側広筋は、鵞足を構成しない。内側広筋の【起始】大腿骨転子間線の下部、大腿骨粗線の内側唇、【停止】膝蓋骨、脛骨粗面、【作用】膝関節伸展、【神経】大腿神経:L2,L3である。

3.〇 正しい。半腱様筋は、鵞足を構成する。半腱様筋の【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【神経】坐骨神経の脛骨神経部:L4~S2である。

4.× 大内転筋は、鵞足を構成しない。大内転筋の【起始】恥骨下枝、坐骨枝、坐骨結節、【停止】恥骨筋線、大腿骨粗線の内側唇全長、内側上顆、【作用】股関節内転、前部:屈曲、後部:伸展、【神経】前部:閉鎖神経後枝、後部:坐骨神経(脛骨神経部):L2~L5(S1)である。

 

 

 

 

 

問題59 正中を走行するのはどれか。

1.前交通動脈
2.前大脳動脈
3.後交通動脈
4.後大脳動脈

解答

解説

(※図引用:慶應義塾大学医学部 解剖学教室

1.〇 正しい。前交通動脈は、正中を走行する。前交通動脈とは、左右の前大脳動脈を結び、脳の前部を横切る血管である。

2.× 前大脳動脈とは、前頭葉および頭頂葉の内側部と脳梁に血液を供給する動脈である。左右それぞれ一対ある血管である。

3.× 後交通動脈とは、内頸動脈と後大脳動脈を結ぶ動脈である。左右それぞれ一対ある血管である。

4.× 後大脳動脈とは、脳底動脈から分岐して、側頭葉(海馬を含む)および後頭葉の内側部、視床、ならびに乳頭体および膝状体に血流を供給する。

 

 

 

 

 

問題60 中硬膜動脈が通るのはどれか。

1.正円孔
2.破裂孔
3.卵円孔
4.棘孔

解答

解説

(※図引用:「頭蓋底手術」金沢大学脳神経外科HPより)

1.× 正円孔とは、大翼基部にある3つの孔(正円孔、卵円孔、棘孔)のうち最も前方に位置し、上顎神経(三叉神経第2枝)が通る部位である。

2.× 破裂孔は、側頭骨と蝶形骨、後頭骨が形成する孔のことである。内頸動脈、大錐体神経、深錐体神経が通る部位である。

3.× 卵円孔は、蝶形骨にあり、下顎神経が通る。

4.〇 正しい。棘孔は、中硬膜動脈が通る。棘孔とは、大翼基部にある3つの孔(正円孔、卵円孔、棘孔)のうち最も外側後方に位置するひときわ小さな孔のことをさす。

 

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