第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午前6~10】

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問題6 国民医療費に含まれるのはどれか。

1.美容整形費
2.人間ドックの費用
3.正常分娩に要する費用
4.柔道整復師による療養費

解答

解説
1~3.× 美容整形費/人間ドックの費用/正常分娩に要する費用は、国民医療費に含まれない
「国民医療費」とは、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。(※一部抜粋:「国民医療費の範囲と推計方法の概要」厚生労働省HPより)

4.〇 正しい。柔道整復師による療養費は、国民医療費に含まれる。ただし、医師の指示以外によるあんま・マッサージ等は適応外となる。

 

 

 

 

 

問題7 鎖骨骨折坐位整復法の助手の役割で誤っているのはどれか。

1.患者の観察
2.患肢の保持
3.上方転位の除去
4.胸を張る姿勢の保持

解答

解説
1.〇 正しい。患者の観察/患肢の保持/胸を張る姿勢の保持は、助手の役割である。
【坐位整復法】
・患者:坐位または椅子に腰かけさせる(肘関節90度屈曲位)。
・第1助手:患者の後方に位置して背柱部に膝頭を当てがい両脇に手を入れて両肩を外後方へ引き、短縮転位を取り除く。
・第2助手:患肢の上腕および前腕を把握して上腕と肩甲骨を上外方に持ち上げて下方転位の遠位骨片を近位骨片に近づける。
・術者:術者は前方(やや患側)に位置し、骨折部を前下向へ圧迫し整復する。

3.× 上方転位の除去は、鎖骨骨折坐位整復法の助手の役割ではない。なぜなら、助手はこの操作を直接行うのではなく、あくまで施術者をサポートする立場であるため。上方転位の除去は、整復の過程で行われる操作であり、通常は主治医や施術者が行うべき役割である。

 

 

 

 

 

問題8 セイヤー絆創膏固定法で誤っているのはどれか。

1.腋窩枕子は末梢牽引の梃子の支点にする。
2.第1帯は鎖骨の短縮転位を防止する。
3.第2帯は遠位骨片の上方転位を防止する。
4.第3帯は骨折部を圧迫する。

解答

解説

セイヤー絆創膏固定法

セイヤー絆創膏固定法とは、鎖骨骨折時の固定法である。
【役割】
腋窩枕子:末梢牽引を行うためのテコの支点の働き。
第1帯:肩を外方に引き鎖骨の短縮転位を防止する。
第2帯:患肢を挙上させて下方転位を防止する。
第3帯:前腕の重量で骨折部に圧迫力を加える。

1.〇 正しい。腋窩枕子は末梢牽引の梃子の支点にする。(※読み:梃子=てこ)
2.〇 正しい。第1帯は鎖骨の短縮転位を防止する。
4.〇 正しい。第3帯は骨折部を圧迫する。

3.× 第2帯は遠位骨片の「上方転位」ではなく下方転位を防止する。

 

 

 

 

 

問題9 上腕骨外科頸外転型骨折で誤っているのはどれか。

1.前外方凸の変形がみられる。
2.肩関節の可動域が制限される。
3.軸圧を加えると痛みが増強する。
4.広範囲に皮下出血斑が出現する。

解答

解説

上腕骨外科頸外転型骨折の整復

上腕骨外科頸骨折とは、上腕骨の骨折の中で、特に高齢者に多く発生する骨折の一つであり、骨頭から結節部にかけての太い部分から骨幹部に移行する部位で発生する。老年期とは、一般的に65歳以上をいう。

患者:背臥位、腋窩に手挙大より大きめの枕子を挿入しておく。
第1助手:帯などで上内方に牽引、固定させる。
第2助手:肘関節直角位で上腕下部及び前腕下部を把握する。末梢牽引させながら徐々に上腕を外転させ短縮転位を除去し両骨折端を離開させる。
術者:両手で遠位骨片近位端を把握する。
(対向牽引が遠位骨片骨軸方向に正しく行う)

1.× 「前外方凸」ではなく前内方凸の変形がみられる。なぜなら、外転型骨折は、上腕骨頭が外側に位置するため。

2.〇 正しい。肩関節の可動域が制限される。なぜなら、骨折により炎症症状が出現したり、肩甲上腕リズムに影響を及ぼすため。

3.〇 正しい。軸圧を加えると痛みが増強する。なぜなら、骨折が不安定であるため、圧力がかかると骨片が動いて痛みを引き起こすため。

4.〇 正しい。広範囲に皮下出血斑が出現する。なぜなら、骨折により炎症症状がみられるため。皮下出血斑とは、皮膚の下に血液がたまってできる青あざのことである。

上腕骨外科頚骨折外転型について

発生機序:肩外転位で手掌、肘を衝いて転倒
鑑別疾患:肩関節前方脱臼
好発年齢層:高齢者
腱板損傷:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
整復前の確認:腋窩動脈(橈骨動脈)、腋窩神経の確認

【上腕骨外科頸外転型骨折の転位・変形】
・近位骨片は軽度内転
・遠位骨片は軽度外転
・遠位骨折端は前内上方へ転位
・骨折部は前内方凸の変形

 

 

 

 

 

問題10 三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折の固定で正しいのはどれか。

1.肩関節内旋位で固定する。
2.U字副子を使用する。
3.固定期間は3~5週とする。
4.初期安静期を過ぎると機能的装具の適用となる。

解答

解説

MEMO

三角筋付着部よりも近位の上腕骨骨幹部骨折では、近位骨片は内転・内旋方向に転位する。なぜなら、近位骨片は大胸筋によって牽引されるため。したがって、肩関節外転70~80度で固定する。

他にも大結節(棘上筋、棘下筋など)、小結節(大円筋、肩甲下筋)が付着しているが、筋の大きさに依存するため、大胸筋の影響を強く受ける。

1.× 肩関節「内旋位」ではなく軽度外旋位で固定する。
上腕骨骨幹部骨折の固定は、三角筋付着部より遠位の場合は、枕子、厚紙副子、金属副子、ミッデルドルフ三角副子などを用い、肩関節外転70~80°、水平屈曲30~45°、軽度外旋位、肘関節直角位、前腕中間位で肩関節から手関節まで行う。ちなみに、三角筋付着部より近位の場合は、肩関節0~軽度外転位とし、安定と共に徐々に外転を強める。

2.× 「U字副子」ではなく、金属副子を使用する。他にも、枕子、厚紙副子、ミッデルドルフ三角副子などを用いる。ちなみに、U字副子(ギプス副子)の固定は、骨折や捻挫などの部位を安静に保つために、副子を当てて包帯などで巻き固定する方法である。

3.× 固定期間は、「3~5週」ではなく7~10週とする。螺旋状は8週間、横骨折は10週間である。

4.〇 正しい。初期安静期を過ぎると機能的装具の適用となる。機能的装具とは、四肢や体幹の機能障害を軽減することを目的として体表に装着する器具で、失われた身体機能の補助や傷病の治療、変形の矯正などの目的で使用される。

 

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