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問題96 前腕コンパートメント症候群で正しいのはどれか。
1.4つの区画に分かれる。
2.橈側伸筋群に好発する。
3.急性型は組織間液が減少する。
4.慢性型は筋膜の肥厚がみられる。
答え.4
解説
コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。症状として6P【①pain(痛み)、②pallor(蒼白)、③paresthesia(知覚障害)、④paralysis(運動麻痺)、⑤pulselessiiess(末梢血管の拍動の消失)、⑥puffiniss(腫脹)】があげられ、それらを評価する。
1.× 「4つ」ではなく3つの区画に分かれる。
一般的に、前腕は①屈筋群、②伸筋群、③橈側伸筋群の3つに分けられる。一方、下腿は①前方区画、②外側区画、③後方浅区画、④後方深区画の4つに分けられる。
2.× 橈側伸筋群に好発するとはいえない。
なぜなら、コンパートメント症候群の原因は、損傷を受けた筋肉がひどく腫れ上がり、血液の供給が遮断されたときに発生するため。
3.× 急性型は組織間液が「減少」ではなく増加する。
コンパートメント症候群とは、骨・筋膜・骨間膜に囲まれた「隔室」の内圧が、骨折や血腫形成、浮腫、血行障害などで上昇して、局所の筋・神経組織の循環障害を呈したものをいう。
4.〇 正しい。慢性型は筋膜の肥厚がみられる。
慢性型のコンパートメント症候群では、運動や過度の筋力トレーニングによる筋肉の繰り返しの収縮と弛緩により、筋膜が次第に肥厚し、硬くなることが一般的である。また、スポーツ活動により発症し数分から10数分の安静により軽快する。ほかにも、スポーツ中の疼痛、力が入りにくい、筋肉が硬くなる、しびれを伴うなどの症状が出現する。
上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
問題97 腱鞘炎はどれか。
1.弾発指
2.槌指
3.スキーヤー母指
4.ロッキングフィンガー
答え.1
解説
腱鞘炎とは、骨と筋肉をつないでいる腱と、腱を包む腱鞘が擦れ合うことで炎症が起こる病気のことである。原因として、主に手指を使いすぎることによって発症する。特に、動きが多い手首や指などの場所に発症することが多い。代表的なものでは、ドケルバン病やばね指などが挙げられる。
1.〇 正しい。弾発指は、腱鞘炎である。
弾発指(ばね指)とは、指を曲げて伸ばそうとしたときに、弾くようなバネに似た動きをする状態のことである。ばね指は、指を曲げるのに必要な腱や腱鞘に炎症が起こり、腱鞘炎が悪化することで発症する。特に手指を使いすぎていたり、スポーツをしたりしているとかかりやすいといわれている。
2.× 槌指
槌指とは、DIP関節の過屈曲によりDIP関節の伸筋腱の断裂で起こる。DIP関節が曲がったままで痛みや腫れがあり、自動伸展は不能で、自分で伸ばそうと思っても伸びない。しかし、他動伸展は可能である。原因として、鋭利な刃物などによる直接的な腱の切断、バレーボール、バスケットボール、野球などの球技による外力での腱断裂があげられる。
3.× スキーヤー母指
スキーヤー母指とは、母指MP関節尺側側副靭帯損傷ともいい、原因は、親指の先から2番目の関節が、スキー中に転倒した場合などにストックによって外側に強制的に曲げられたときに、靭帯に損傷が起こって生じる。不安定性のほか、物をつまんだり、にぎり動作で痛みが増強する症状がみられる。損傷の程度は、指を横に曲げてみて判定し、軽度の場合は保存的治療法を選択し、過度に横に曲がってしまう場合は手術によって切れた靭帯を再建する必要がある。
4.× ロッキングフィンガー
ロッキングフィンガーとは、骨に靭帯が引っかかり、指が伸ばせない状態である。すべての手指に起こりえる。ただし、中手指節関節(MP関節)で発生することが多く発生し、2〜5指では中手骨骨頭の掌橈側にできた骨棘に副靭帯が引っ掛かり発生することが多いとされている。また、20〜40歳代の女性の右手に好発するともいわれている。
問題98 鼡径部痛症候群で誤っているのはどれか。
1.スポーツに関連して発生する。
2.股関節唇の損傷である。
3.内転筋近位部に痛みが生じる。
4.保存療法が基本である。
答え.2
解説
鼡径部痛症候群とは、鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)ともいい、ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れたときに鼠径部やその周辺に痛みが生じものをさす。他の競技と比べサッカー選手に多く見られ、一度なると治りにくいのが特徴である。体幹から股関節周辺の筋や関節の柔軟性(可動性)の低下による拘縮や骨盤を支える筋力(安定性)低下による不安定性、体幹と下肢の動きが効果的に連動すること(協調性)が出来ず不自然な使い方によって、これらの機能が低下し、痛みと機能障害の悪循環が生じて症状が慢性化する。
1.〇 正しい。スポーツに関連して発生する。
特に、サッカー選手に多く見られる。
2.× 「股関節唇の損傷」ではなく鼠径部軟部組織の炎症である。
ボールを蹴る動作によって骨盤と下肢をつなぐ鼠径部に大きな負担がかかり、繰り返しの物理的なストレスにより炎症が生じることで痛みが生じる。
3.〇 正しい。内転筋近位部に痛みが生じる。
キック動作など腹部に力を入れたときに鼠径部やその周辺に痛みが生じものをさす。
4.〇 正しい。保存療法が基本である。
治療として、炎症を落ち着かせるために、1~2週間程度の安静が必要である。初期にはアイシングや薬物療法、物理療法などを用いて痛みのコントロールを図り、運動復帰後の再発予防やパフォーマンス改善を目的に運動療法を行う。
問題99 病名の組合せで誤っているのはどれか。
1.発育性股関節形成不全:オブザベーションヒップ
2.腸脛靱帯炎:ランナーズニー
3.下腿三頭筋肉離れ:テニスレッグ
4.第1MTP関節変形性関節症:強剛母趾
答え.1
解説
1.× オブザベーションヒップは、「発育性股関節形成不全」ではなく一過性股関節炎である。
一過性股関節炎とは、何らかの原因で股関節に炎症が生じ、関節液が過度にたまる一過性の股関節炎である。股関節をおおっている関節包が強く緊張するため、股関節の動きが悪くなり、動くと痛みを感じる。ちなみに、発育性股関節形成不全とは、生下時の女児(0~1歳)におこる股関節の脱臼などの状態である。現在では、先天性股関節脱臼のことを発育性股関節形成不全と呼ぶ傾向にある。変形性股関節症の原因となることが多い。片側に発症することが多く、リーメンビューゲル装具(アブミ式吊りバンド)で開排(屈曲・外転)肢位にして治療する。リーメンビューゲル装具で改善しない場合、牽引療法を、さらに治療が困難な場合は、観血的整復術や補正手術を検討する。
2.〇 正しい。腸脛靱帯炎は、ランナーズニーともいう。
腸脛靱帯炎(ランナー膝)の原因は、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生する。 特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。
3.〇 正しい。下腿三頭筋肉離れは、テニスレッグともいう。
下腿三頭筋肉離れ(テニスレッグ)とは、ふくらはぎの筋肉(特に内側の)肉離れのことである。ボールに素早く反応して瞬発的に動いた際に、収縮していた筋肉が急激に伸び縮みして、筋線維が割ける。ちなみに、肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。
4.〇 正しい。第1MTP関節変形性関節症とは、強剛母趾ともいう。
第1MTP関節変形性関節症(強剛母趾)とは、年齢的な変化で、主に母趾背屈が固くなる疾患である。症状として、母趾が反らしにくいと歩きにくくなったり、骨棘ができて付け根が出っぱり、靴に当たって痛くなる。骨棘とは、骨同士の摩擦や変形によって発生する骨のトゲのことである。変形性膝関節症などでよく見られるが、変形性股関節症でもみられる。レントゲンによって判断が可能で、変形性関節症の進行度合いの確認指標となる。
肉離れとは、筋肉が過度に引き伸ばされたり、筋肉が縮んだ状態から引き伸ばされた際に筋線維が切れることである。肉離れの予防として、①柔軟性の向上、②血行改善、③アイシング、④違和感があった際の中断が必要となる。
【好発部位】
大腿四頭筋:太ももの前側(大腿直筋)で起こりやすい。なぜなら、股関節と膝関節の二つの関節の動きに作用する二関節筋であるため。
ハムストリングス:大腿二頭筋(筋腱移行部)で起こりやすい。
下腿三頭筋:筋線維の多くは筋腱移行部での部分損傷で、特に腓腹筋内側頭で起こりやすい。10代からみられ、各年齢層にまんべんなく発生する。受傷機序として、日常生活中やスポーツ現場では階段を下りた際や、ランニングやダッシュの途中などにふくらはぎに鋭い痛みが走り、その後の歩行が困難になるケースがよく見られる。足関節底屈の際、親指のほうが大きく力を発揮するのに適しており、親指側に力が入りやすいため、外側より内側のほうが受傷しやすい。
問題100 シンスプリントで誤っているのはどれか。
1.骨膜に炎症が生ずる。
2.脛骨内側に好発する。
3.扁平足は誘因となる。
4.単純エックス線像で異常がみられる。
答え.4
解説
シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)とは、脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。運動中や運動後にすねの内側に痛みが出る。超音波にて治療を行う際は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに照射する。
1.〇 正しい。骨膜に炎症が生ずる。
脛骨に付着している骨膜(筋肉)が炎症している状態である。
2.〇 正しい。脛骨内側に好発する。
超音波にて治療を行う際は、下腿中央から遠位1/3部の脛骨後内方、前脛骨筋部、骨間膜などに照射する。
3.〇 正しい。扁平足は誘因となる。
足の裏のアーチ(いわゆる土踏まず)は着地によって地面から受ける衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしている。土踏まずのない扁平足の人は地面からの衝撃がダイレクトに伝わるため、シンスプリントになりやすい。
4.× 単純エックス線像で異常が「みられない」。
なぜなら、単純エックス線像では映らないため。シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)は、軟部組織(骨膜:筋肉)の炎症である。ちなみに、単純X線検査とは、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる。骨折や肺炎、腸閉塞、マンモグラフィなどで有用である。