第34回(R8年)柔道整復師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 上腕骨内側上顆炎に関与するのはどれか。

1.上腕二頭筋
2.長母指伸筋
3.尺側手根屈筋
4.回外筋

解答

解説

上腕骨内側上顆炎とは?

上腕骨内側上顆炎とは、フォアハンドテニス肘ともいい、前腕屈筋群の腱付着部症で『ゴルフ肘』『野球肘』とも呼ばれるが、頻度は外側型に比べ多くない。前腕屈筋群、伸筋群は手首や指の動きに非常に関係があり、手首や指の使い過ぎがテニス肘の原因となる。

1.× 上腕二頭筋の【起始】長頭:肩甲骨の関節上結節、短頭:肩甲骨の烏口突起、【停止】橈骨粗面、腱の一部は薄い上腕二頭筋腱膜となって前腕筋膜の上内側に放散、【作用】肘関節屈曲、回外(長頭:肩関節外転、短頭:肩関節内転)、【神経】筋皮神経である。

2.× 長母指伸筋の【起始】尺骨体中部背面、前腕骨間膜背面、【停止】母指の末節骨底の背側、【作用】母指の伸展、内転、【支配神経】橈骨神経深枝である。

3.〇 正しい。尺側手根屈筋は、上腕骨内側上顆炎に関与する。なぜなら、尺側手根屈筋の起始部は、内側上顆であるため。
・尺側手根屈筋の【起始】上腕頭:内側上顆と前腕筋膜、尺骨頭:肘頭から尺骨中部までの後縁、【停止】豆状骨、豆鉤靭帯、豆中手靭帯、有鉤骨、第5中手骨底、【作用】手関節の掌屈、尺屈、【支配神経】尺骨神経である。

4.× 回外筋の【起始】上腕骨外側上顆、尺骨の回外筋稜、肘関節包後面、橈骨輪状靭帯、【停止】橈骨上部外側面、【作用】前腕回外、【支配神経】橈骨神経深枝である。

 

 

 

 

 

問題97 後骨間神経障害で正しいのはどれか。

1.肘内側部に疼痛が生じる。
2.円回内筋での絞扼によって生じる。
3.前腕の過度な回外動作によって生じる。
4.下垂手が生じる。

解答

解説

前骨間神経と後骨間神経について

前骨間神経と後骨間神経は、前腕の橈骨と尺骨という2つ骨の間を繋ぐ骨間膜の前後を走る神経である。両者とも触覚に異常がないのが特徴である。神経炎以外にも、外傷、絞扼性神経障害でも生じる。

【前骨間神経】
・肘の辺りで正中神経から分岐して主に母指(親指)と示指の第1関節を動かす筋肉を支配している。
→涙のしずくが陽性。

後骨間神経
・肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。
→下垂指(drop finger)となる。

1.× 肘内側部に疼痛が生じるのは、尺骨神経麻痺の症状である。

2.× 円回内筋での絞扼によって生じるのは、正中神経である。

3.〇 正しい。前腕の過度な回外動作によって生じる。なぜなら、後骨間神経の走行は、回外筋にもぐりこむため。前腕の過度な回外動作によって絞扼が生じる。
・後骨間神経とは、肘の辺りで橈骨神経から分岐して回外筋にもぐりこみ、指を伸展する筋肉を支配している。したがって、後骨間神経が障害すると下垂指(drop finger)となる。

4.× 「下垂手」ではなく下垂指が生じる。ちなみに、下垂手は橈骨神経障害でみられる。

 

 

 

 

 

問題98 手の障害と症状の組合せで正しいのはどれか。

1.三角線維軟骨複合体損傷:橈屈で疼痛誘発
2.ド・ケルバン(deQuervain)病:第2区画の腫脹
3.手根管症候群:ファーレンテスト陽性
4.マーデルング(Madelung)変形:手関節掌屈制限

解答

解説

MEMO

三角線維軟骨複合体とは、遠位橈尺関節を安定化させている支持組織である。遠位橈尺関節は手関節に隣接して存在し、肘関節に隣接する近位橈尺関節と共に前腕の回内外運動を行う。遠位橈尺関節の安定性と衝撃吸収を担うため、三角線維軟骨複合体損傷は、疼痛や機能障害の原因となる。原因として、外傷である。 手関節部の強い衝撃や手関節への過剰な負荷の繰り返しにより起こるため、野球やテニスなどのスポーツが原因となることが多い。

1.× 橈屈で疼痛誘発するのは、「三角線維軟骨複合体損傷」ではなくド・ケルバン病である。
・de Quervain病とは、狭窄性腱鞘炎ともいい、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。

2.× ド・ケルバン病は、「第2区画」ではなく第1区画の腫脹である(背側腱第1区画部の狭窄性腱鞘炎)。伸筋支帯と橈骨・尺骨との間には、伸筋の腱を通す6つのトンネルがある。各トンネルの問では伸筋支帯の一部が骨に密着して、となり合う腱トンネルを仕切る区画(腱区画)をなす。de Quervain病とは、狭窄性腱鞘炎ともいい、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。
第1管:長母指外転筋と短母指伸筋
第2管:長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋
第3管:長母指伸筋
第4管:総指伸筋と示指伸筋
第5管:小指伸筋
第6管:尺側手根伸筋

3.〇 正しい。手根管症候群:ファーレンテスト陽性
・手根管症候群は、正中神経の圧迫によって手指のしびれや感覚低下などの神経障害が生じる。手根管(手関節付近の正中神経)を4~6回殴打すると、支配領域である母指から環指橈側および手背の一部にチクチク感や蟻走感が生じる(Tinel徴候陽性)。Tinel徴候のほか、ダルカン徴候(手根管部を指で圧迫するとしびれ感が増悪する)やファーレン徴候(Phalen徴候:手首を曲げて症状の再現性をみる)も陽性となる場合が多い。

4.× マーデルング変形は、「手関節掌屈制限」ではなく遠位橈尺関節の自然脱臼(全般の手関節可動域低下)である。
・Madelung変形とは、遠位橈尺関節の自然脱臼のことである。思春期女性に多い先天性・発育性疾患である。基本的に両側に罹患する。橈骨遠位端の掌側・尺側に傾く骨格変形であり、早期閉鎖による成長障害である。

 

 

 

 

 

問題99 鼠径部痛症候群で正しいのはどれか。

1.初期から日常生活に支障がある。
2.大腿筋膜張筋に疼痛を訴える。
3.鼠径ヘルニアとの鑑別を要する。
4.観血療法が第一選択である。

解答

解説

鼠径部痛症候群とは?

鼠径部痛症候群とは、ランニングや起き上がり、キック動作など腹部に力を入れたときに鼠径部やその周辺に痛みが生じものをさす。他の競技と比べサッカー選手に多く見られ、一度なると治りにくいのが特徴である。体幹から股関節周辺の筋や関節の柔軟性(可動性)の低下による拘縮や骨盤を支える筋力(安定性)低下による不安定性、体幹と下肢の動きが効果的に連動すること(協調性)が出来ず不自然な使い方によって、これらの機能が低下し、痛みと機能障害の悪循環が生じて症状が慢性化する。

1.× 初期から日常生活に支障がある「とは限らない」。なぜなら、初期はスポーツ動作で痛みが出やすく、安静で軽快することが多いため。たとえば、サッカー選手が、「ダッシュ、切り返し、キックでは痛いが、普段の歩行や安静時はそれほど困らない」と訴えるのは典型的である。

2.× 「大腿筋膜張筋」ではなく鼠径部(その周り)に疼痛を訴える。

3.〇 正しい。鼠径ヘルニアとの鑑別を要する。なぜなら、鼠径ヘルニアとの症状や部位が重なりうるため。
・鼠径ヘルニアとは、鼠径部の脆弱化した筋膜・腿膜の裂隙(すき間)から、壁側腹膜に包まれた腹腔内臓器が脱出したものである。主に2種類に大別される。①外鼠径ヘルニア、②内鼠径ヘルニアである。①外鼠径ヘルニアは、内鼠径輪からもともと存在する通路である鼠径管を通って腸管が脱出するものである。乳幼児期男児や成人男性に多い。②内鼠径ヘルニアは、横筋筋膜の脆弱化により、もともと穴が開いていない筋膜を突き破って腸管が脱出するものである。壮年期以降の男性に多い。症状として、鼠径部に膨らみができ、不快感や違和感、痛みが発生する。ちなみに、修復術は、この突出部を正しい位置に戻し、ヘルニアの発生を防ぐために腹壁を修復するため、病状を根本から治療できる。

4.× 「観血療法」ではなく保存療法が第一選択である。初期治療として、保存療法(安静、アイシング、理学療法、NSAIDsなど)を実施し、4〜6週の理学療法で改善する例が多い。

 

 

 

 

 

問題100 病名と部位の組合せで正しいのはどれか。

1.鵞足炎:膝窩部
2.ランナー膝:ガーディ結節部
3.ジャンパー膝:膝蓋骨内側縁部
4.有痛性分裂膝蓋骨:膝蓋骨外上方部

解答

解説
1.× 鵞足炎は、「膝窩部」ではなく脛骨近位内側である。
・鵞足炎とは、膝下の内側にある鵞足部周辺が炎症を起こしている状態である。 鵞足とは、薄筋・縫工筋・半腱様筋がついている部位のことを指す。

2.× ランナー膝は、「ガーディ結節部(脛骨外側)」ではなく大腿骨外顆である。
・腸脛靱帯炎とは、ランナー膝ともいい、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生している状態を指す。特にマラソンなどの長距離ランナーに好発し、ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等にも多い。

3.× ジャンパー膝は、「膝蓋骨内側縁部」ではなく膝蓋腱付着部である。
・ジャンパー膝とは、ジャンピングなどの繰り返し行動による過度のストレスが膝蓋腱に与えられることにより、膝蓋骨周囲の疼痛や腫脹を生じている状態を指す。バスケットボールやバレーボールなどのスポーツによる膝伸展機構の使いすぎによって起こる。

4.〇 正しい。有痛性分裂膝蓋骨:膝蓋骨外上方部
・有痛性分裂膝蓋骨とは、激しいスポーツ動作などをきっかけに分裂した箇所にストレスが加わることで痛みが出現する。症状が出ている場合(痛みが出ている場合)を有痛性と分類される。有痛性分裂膝蓋骨の症状は、膝蓋骨の割れた分裂部に炎症が起き、ズキズキした痛みを伴う。膝の曲げ伸ばしにはお皿が押し付けられるような力や、大腿四頭筋の牽引力が加わり、痛みが起こり、ジャンプなど運動強度が増すと痛みが増す。

 

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