第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前36~40】

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問題36 肉芽腫性炎はどれか。

1.アレルギー性鼻炎
2.壊疽
3.肝膿瘍
4.サルコイドーシス

解答

解説

肉芽腫性炎症とは?

肉芽腫性炎症とは、増殖性炎症の一つであり、肉芽腫(マクロファージ、類上皮細胞、多核巨細胞の増生からなる結節性の肉芽)の形成が特徴である。肉芽腫は慢性炎症などで見られる。

1.× アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎とは、アレルゲンが鼻粘膜から侵入し免疫反応が起こることによって、鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状が引き起こされる病気である。通年性アレルギー性鼻炎(一年を通して症状が出るタイプ)と、季節性アレルギー性鼻炎(特定の季節に症状が出るタイプ、いわゆる花粉症)とがあり、両者を合併しているタイプもみられる。出血性炎症とは、炎症巣の滲出性炎症のことであり、著しい出血がみられる。多量の赤血球細胞を含んでいる炎症細胞なので、血管壁は傷害を受けている。 小児のインフルエンザ肺炎、劇症型肝炎、日本脳炎、肺出血で見られる。

2.× 壊疽
壊疽とは、壊死の一種であり、感染症あるいは血栓症などによる壊死に陥った部分が腐敗・融解をきたしている状態のことをいう。他にも、糖尿病による下肢壊疽などがある。

3.× 肝膿瘍
肝膿瘍とは、細菌や原虫、真菌が肝臓に進入し、そこで繁殖し、膿が溜まってしまった状態である。 肝膿瘍には、主に細菌を原因とするものと、赤痢アメーバを原因とするものがある。 肝膿瘍は、糖尿病の患者さんや、肝臓や胆管などに悪性腫瘍がある方、免疫力が低下した方に起こりやすい。

4.〇 正しい。サルコイドーシスは、肉芽腫性炎である。
サルコイドーシスとは、全身のさまざまな場所に肉芽腫と呼ばれるしこりができる病気である。原因不明である。症状には、「臓器特異的症状」と「(臓器非特異的)全身症状」とがある。 臓器特異的症状は、侵された各臓器に起こる咳・痰、ぶどう膜炎、皮疹、不整脈・息切れ、神経麻痺、筋肉腫瘤、骨痛などの様々な臓器別の症状であり、急性発症型のものと慢性発症型のものがある。

 

 

 

 

 

問題37 初感染における免疫応答で最初に血中で上昇するのはどれか。

1.IgA
2.IgE
3.IgG
4.IgM

解答

解説
1.× IgA
IgAとは、体内では2番目に多い免疫グロブリンで、鼻汁、涙腺、唾液、消化管、膣など、全身の粘膜に存在している。IgAは、粘膜の表面で病原体やウイルスと結合し、病原体やウイルスが持っている毒素を無効化して感染しないように阻止する働きがある。母乳(特に初乳)に多く含まれる。児が自分自身でも生産するため、徐々に濃度が上昇し10歳ごろに成人と同じレベルに達する。

2.× IgE
IgEとは、肥満細胞や好塩基球の細胞表面に存在している。ヒスタミン遊離によりアレルギー疾患を引き起こす。生後6か月以降の乳幼児では、しばしばアトピー性アレルギー疾患の進行に伴って血清中のIgE抗体が上昇する。したがって、I型反応(即時型、アナフィラキシー型)のアレルギー反応に関与する。

3.× IgG
IgGとは、分子量が最も小さい抗体であるため、唯一、胎盤を通過する免疫グロブリンである。IgMが生成された後に生成され始め、血中で最も多く存在する抗体である。一般的に抗体検査というとこのIgGを調べることが多い。比較的長期間持続されるとされており、その期間は数ヶ月〜数年とウイルスによって異なる。

4.〇 正しい。IgMは、初感染における免疫応答で最初に血中で上昇する。
IgMとは、新生児由来であり、児に感染が起きたときに産生される免疫グロブリンである。しかし、感染防御力は低い。出生直後の新生児の血中IgMが高値の場合は、胎内または分娩時の感染が示唆される。感染の初期に発現し、生体防御の初段階を担うのはこのIgMに属するいずれかの抗体で、それらは症状が進むと再び発現するようになる。

(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)

 

 

 

 

 

問題38 2019年の我が国におけるがん死亡統計で男性死亡数が最も多いのはどれか。

1.肺がん
2.肝臓がん
3.膵臓がん
4.大腸がん

解答

解説

(※図引用:「最新がん統計」がん情報サービス様HPより)

1.〇 正しい。肺がんは、2019年の我が国におけるがん死亡統計で男性死亡数が最も多い。
2.× 肝臓がんは、第5位である。
3.× 膵臓がんは、第4位である。
4.× 大腸がんは、第2位である。

 

 

 

 

 

問題39 排尿障害のうち蓄尿障害はどれか。

1.尿勢低下
2.尿線途絶
3.尿失禁
4.残尿感

解答

解説

蓄尿障害とは?

蓄尿障害とは、尿を貯めることができなくなる障害のことである。蓄尿障害(尿失禁や頻尿)の原因として、膀胱排尿筋の過活動や、膀胱出口の抵抗が弱くなる、尿道閉鎖圧が低下するなどである。

1.× 尿勢低下
尿勢低下の原因は、尿道が狭くなる尿道狭窄、前立腺肥大症(男性)、骨盤臓器脱(女性)などである。

2.× 尿線途絶
尿線とは、排尿時に尿道から勢いよく飛ぶ尿が描く線のことである。健康な人の場合、尿線は放物線を描く。つまり、尿線途絶とは、排尿中に尿線が途切れることである。原因として、通過障害や膀胱収縮障害などがあげられる。

3.〇 正しい。尿失禁は、排尿障害のうち蓄尿障害である。
尿失禁とは、【定義】自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことであり、大きく2種類に大別される。①器質性尿失禁:排尿機構の障害に起因する。そこから①腹圧性、②切迫性、③溢流性、④反射性などがある。②機能性尿失禁:排尿動作の遅れなどに起因する。

4.× 残尿感
残尿感は、トイレに行った後もスッキリしない感覚が残る症状である。原因は、膀胱や尿道の知覚異常、尿路の炎症、結石、腫瘍、過活動膀胱、神経性膀胱などが挙げられる。

 

 

 

 

 

問題40 心電図検査でST低下の際に疑われるのはどれか。

1.狭心症
2.心房細動
3.心室粗動
4.洞不全症候群

解答

解説

(※図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.〇 正しい。狭心症は、心電図検査でST低下の際に疑われる。
狭心症とは、心臓に血液を供給する血管の狭窄により、心筋が虚血(酸素不足)状態になることによって生じる病気である。治療は、血管を拡張させる薬(硝酸薬)や、狭窄の原因となる動脈硬化や血栓を予防する薬(抗血小板薬)を用いる。

2.× 心房細動
心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。

3.× 心室粗動
心室粗動とは、P波がなく、心室内の興奮が無秩序に行われている状態をいう。致命的な不整脈であり、心室粗動は心室細動に比べ規則正しい大きな波形が現れる心室頻拍から移行するので心室頻拍をみたら放置してはならない。

4.× 洞不全症候群
洞不全症候群とは、Ⅰ~Ⅲ群に分類され、洞徐脈(心拍数50/分以下)、洞停止(P波脱落)などがみられる。したがって、心電図の特徴は、P波の消失、P波の間隔の延長などがみられる。

ST上昇の場合

ST上昇、異常Q波、冠性T波がみられている場合は、心筋梗塞を疑う。心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に【ST上昇→異常Q波→冠性T波】がみられるようになる。ちなみに、異常Q波とは、幅が0.04秒以上、または、Q波の深さがR波の高さの1/4であることを指す。また、冠性T波とは、急性心筋梗塞を発症してから1~4週後に認められる左右対称性の陰性T波である。発作時、安静時ともにT波は陽性となる。

 

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